鍼灸研究沿革

2001年以降に報告された鍼灸研究文献を大雑把にまとめています。様々な研究がされていますが、痛み関連の文献が最も多く、全体の40%ほどを占めています。

2019
Valgardssonら「Bilateral pneumothoraces in a pregnant woman following acupuncture - a case report」
アイルランドで30代妊娠15週の女性が妊娠に伴う悪心嘔吐のために鍼を受けた。数時間後に呼吸が苦しくなり救急受診をしたところ胸部エックス線画像で両側性の気胸が確認された。サチュレーションと血圧は正常だった。処置後3日で健康状態を取り戻し、ことなきを得た。胸部への鍼には気胸のリスクがある。

Yangら「The effects of Jin's three-needle acupuncture therapy on EEG alpha rhythm of stroke patients」
チャイナでは脳卒中の治療にJinの三本鍼療法がよく利用されているがメカニズムは不明である。50名の患者でマルチチャンネルEEGを用い鍼の前、最中、鍼の後に脳波を測定してその効果を調べた。鍼を行う前と比べると鍼の最中にα波が有意に増大し、抜鍼後にはさらに増大した。このα波の変化が脳卒中に対するJinの三本鍼療法の効果に関連があるのではないか。

Shinら「Moxibustion for prehypertension and stage I hypertension: a pilot randomized controlled trial」
Shinらは高血圧患者に対するお灸の効果と安全性について調べた。軽度の高血圧患者45名をお灸A群(週2回のお灸を4週)、お灸B群(週3回のお灸を4週)、比較対照群(何もしない)の3群に分け、4週後の血圧を主要評価項目とした。3群間に4週後の収縮期血圧及び拡張期血圧に有意な差は見られなかった。お灸B群では4週後に収縮期及び拡張期血圧が有意に低下した。早期の高血圧症患者ではお灸により血圧が低下する可能性が示された。今後は被験者数を増やして研究を続ける。
2018
Meng FFら「A pilot study of acupuncture at pain acupoints for cervical cancer pain」
Mengらは頸部癌の痛みの患者に対して後ろ向き調査を行い、痛みの経穴群と通常経穴群との違いについて検討した。64症例が解析された。主要評価項目は頸部痛で評価にはNRSを用いた。QOLやカルノフスキーのパフォーマンススコアの変化、有害事象も調べた。痛みの経穴群には頸部痛に有意な低下が見られた。どちらの群でも有害事象は報告されなかった。痛みの経穴への14日間の鍼は頸部痛に有効であることが示された。

Francoら「Non-pharmacological Interventions for Treating Chronic Prostatitis/Chronic Pelvic Pain Syndrome」
Francoらは中程度の質のエビデンスに基づいたシステマチックレビューを行い、鍼や体外からの衝撃波などの非薬物的な療法が有害事象なく前立腺炎や骨盤痛の症状を抑えることを示した。

Huら「Electro-acupuncture-induced neuroprotection is associated with activation of the IGF-1/PI3K/Akt pathway following adjacent dorsal root ganglionectomies in rats」
Huらは部分的に後根神経節切除を行ったラットに28日間電気鍼を行いインスリン様成長因子が神経可塑性を仲介するメカニズムについて細胞生物学的手法を用いて調べた。経穴は足三里(ST36)、懸鐘(GB39)、伏兎(ST32)、三陰交(SP6)を用いた。これらのラットにおいて電気鍼による神経可塑性にはPI3K/Aktシグナル伝達経路を介してインスリン様成長因子が重要な役割を担っていることが示された。

Wang Xら「GUT MICROBIOTA WAS MODULATED BY MOXIBUSTION STIMULATION IN RATS WITH IRRITABLE BOWEL SYNDROME」
過敏性腸症候群では腸内細菌叢の異常があることが指摘されているため施灸がIBSラットの腸内細菌叢に変化が生じさせるかを調べた。お灸は腸内細菌叢に変化を生じさせ、IBSを治療することを示唆した。

Wu MYら「ACUPUNCTURE DECREASED THE RISK OF CORONARY HEART DISEASE IN PATIENTS WITH RHEUMATOID ARTHRITIS IN TAIWAN: A NATIONWIDE PROPENSITY SCORE-MATCHED STUDY 」
関節リウマチの患者は糖尿病の患者と同じく健常人の約2倍虚血性心疾患になりやすいことが知られている。関節リウマチ患者19542名のうち、鍼を受けた10,199名と受けなかった19542名に傾向スコアマッチングを行い9932名ずつで比較した。主要評価項目は虚血性心疾患の診断とした。鍼を受けた集団ではマニュアル鍼にろ電気鍼にしろ鍼を受けなかった集団よりも虚血性心疾患の発症が少なかった。鍼は年齢、性別、糖尿病、高血圧、脂質異常症、スタチン(メバロチン、リピトール、クレストールなど)使用から独立して虚血性心疾患の予防に有効であった。これはリウマチ患者に対して鍼が虚血性心疾患のリスク低下のために有効であることを示した初めての大規模研究である。
※https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/150759-1-09.pdf

Dimitrovaら「THE CASE FOR LOCAL NEEDLING IN SUCCESSFUL RANDOMIZED CONTROLLED TRIALS OF PERIPHERAL NEUROPATHY : A FOLLOW -UP SYSTEMATIC REVIEW」
2017年に出版された神経障害と鍼灸に関するシステマチックレビューを元に使用した経穴の位置について検討した。糖尿病性神経障害、ベル麻痺、手根管症候群などさまざまな原因による神経障害に関する研究結果から、鍼で神経障害を改善させるには末梢神経のすぐ近くの経穴を選択し刺鍼することが重要であることが示唆された。

Chouら「CLINICAL EFFICACY OF ACUPUNCTURE ON RHEUMATOID ARTHRITIS AND ASSOCIATED MECHANISMS: A SYSTEMATIC REVIEW」
鍼灸単独あるいは他の治療と鍼灸との組み合わせはリウマチ関節症の臨床症状に有効であり、副作用なく機能やQOLを改善させるため試してみる価値がある。臨床的な有効性に関する矛盾点や質の高い二重盲検試験の不足もあるが、抗炎症作用、抗酸化作用、免疫系調整作用など可能性のある重要なメカニズムが複数まとめられている。

Zhouら「PURINES CHANGE AT ACUPOINTS ALONG THE PERICARDIUM MERIDIAN IN HEALTHY AND MYOCARDIAL ISCHEMIC RATS」
ツボにおけるプリン体濃度を数値化するため健常ラットと心筋虚血ラットでツボ部位でのプリン体の変化と身体機能状態との関連を調べた。心筋虚血処置後に生き残った40匹のラットと健康なラット40匹をそれぞれ5群: 内関(PC6)、曲沢(PC3)、天泉(PC3)、曲池(LI11)、肩髃(LI15)に分けた。各ツボ部位で30分間マイクロダイアライシスを行い組織液を採取し、ATP、ADP、AMP、アデノシンの濃度を液体クロマトグラフィーで測定した。健常ラットと比べると心筋虚血ラットでは内関、曲沢、心泉、肩髃でのアデノシン濃度が明らかに増加していた。曲池では明らかな違いは認められなかった。肩髃でのATPを除いてATP、ADP、AMPはこれらの部位において有意な変化はなかった。心筋虚血において上肢や肩領域のツボでのアデノシンが増加することは身体機能状態がツボでの反応に影響を及ぼすこと示唆している。

Langevinら「WHAT IS THE POINT? THE PROBLEM WITH ACUPUNCTURE RESEARCH THAT NO ONE WANTS TO TALK ABOUT 」
過去20年間の鍼灸研究は鍼に非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)と同等の鎮痛効果と優れた費用対効果があることを示し、近年痛みのコントロールのガイドラインや医療政策に反映されている。一方で「鍼灸」や「経穴」といった用語の定義が曖昧で「経穴特異性」に関する研究が疎かになっている現状は懐疑論者らに鍼灸の有用性への批判を許している。これらの用語の定義を明確にし、経穴特異性に関する生理学的研究を強化することが喫緊の課題である。

Zhangら「EFFECTS OF ACUPUNCTURE ON CANCER-RELATED FATIGUE: A META-ANALYSIS 」
がんに伴う疲労に対する鍼の効果について評価した。1327名が参加した10のRCTを用いてシステマチックレビューを行った。抗がん治療を継続したにもかかわらず、特に乳がん患者らにおいては疲労に対する著明な鍼の効果が認められた。微小出血や内出血の有害事象の報告があった。鍼はがんに伴う疲労のマネジメントに有効なので特に抗がん治療中の乳がん患者には利用価値のある代替療法として推奨されるべきである。

Mohammed ら「EVALUATION OF SERUM BETA-ENDORPHIN AND SUBSTANCE P IN KNEE OSTEOARTHRITIS PATIENTS TREATED BY LASER ACUPUNCTURE 」
レーザー鍼は変形性膝関節症の治療に用いられる補完療法のひとつである。GRADE 2の変形性膝関節症に対するレーザー鍼の有効性について評価を行った。変形性膝関節症の患者40名を12回のレーザー鍼を受ける群と装置をオフにして同じ経穴(犢鼻、足三里、陰陵泉、血海、陽陵泉)に当てる群とに分けた。レーザーは90mwで1分間当て5.4Jのエネルギーを与えた。阿是穴に21.6Jのエネルギーを与えた。レーザーの波長は808nmで直径2ミリのビームを連続波で照射した。レーザー鍼を受けた20名は痛みのスコアを有意に改善させ、βエンドルフィンの血中濃度は増加した。サブスタンスPは減少した。レーザー鍼はGRADE 2の変形性膝関節症のマネジメントに役立つ安全かつ安価なツールである。

Befusら「MANAGEMENT OF MENOPAUSE SYMPTOMS WITH ACUPUNCTURE: AN UMBRELLA SYSTEMATIC REVIEW AND META-ANALYSIS 」
閉経時によくある症状として血管運動性症状がある。治療にはホルモン療法が有効だが患者によっては使えない場合もあり、鍼灸のような非ホルモン療法や非薬物療法を求める患者も多い。そこで閉経時の血管運動性症状と鍼灸についてのRCTを元にシステマチックレビューとメタ解析を行い、健康関連QOLと有害事象について調べた。この研究のメタ解析は鍼をするとしないときにくらべて健康関連QOLが改善し、血管運動性症状の発現頻度が有意に減少することを示した。有害事象もなさそうである。

2017

Dimitrovら「ACUPUNCTURE CAUSES SEROTONIN RELEASE BY MAST CELLS」

鍼への局所反応に関係があるとされているのでマスト細胞は鍼灸研究の重要な対象となっている。ラットでは5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)とも呼ばれるセロトニンを含んでいることが示されているので足三里周囲の5-HTを含むマスト細胞の正常分布と鍼による形態変化について調べた。鍼をすると組織の強度には変化が起こりしわが生じる。5-HTを含むマスト細胞は横紋筋よりも皮下や皮膚内に多く存在する。ラットの皮膚内に鍼をすると組織の変位と5-HTを含むマスト細胞の脱顆粒が起こる。


Luら「ACUPUNCTURE WITH REINFORCING AND REDUCING TWIRLING MANIPU9666661 LATION INHIBITS HIPPOCAMPAL NEURONAL APOPTOSIS IN SPONTANEOUSLY HYPERTENSIVE 1RATS」

高血圧ラットの両側の太衝(LR3)を用いて鍼の術式(右回旋、左回旋、置鍼)が血圧および標的臓器の損傷に及ぼす作用について観察した。すべての術式で海馬におけるアポトーシス細胞数の減少、Bax mRNAとタンパク(←アポトーシス促進タンパク)発現の減少、Bcl-2(アポトーシス抑制タンパク)/Baxタンパク比率の増加が生じた。Bcl-2/Baxタンパク比率の増加は左回旋の群でもっとも高かった。高血圧ラットでは右回旋、左回旋、置鍼といった鍼の術式すべてにおいて海馬のBcl-2/Bax比率を改善させ海馬の細胞アポトーシスを阻害することにより血圧を改善させ、標的臓器の損傷を予防することを示唆した。


Kimら「THE EFFICACY OF COMBINATION TREATMENT OF GABAPENTIN AND ELECTRO-ACUPUNCTURE ON PACLITAXEL-INDUCED NEUROPATHIC PAIN 」
化学療法に用いられるパクリタクセルは重度の神経因性疼痛を引き起こす。この痛みに対するガバペンチンと電気鍼の効果についてマウスで検討した。どちらもアロディニアを改善させたがガバペンチンの大量投与は運動機能障害を生じさせた。少量のガバペンチンと電気鍼の組み合わせは最も有効で効果も持続した。

Liu ら「ACUPUNCTURE FOR PRIMARY DYSMENORRHEA: A META-ANALYSIS OF RANDOMIZED CONTROLLED TRIALS」
若い女性に多い月経困難症の治療にに鍼灸が利用されているがエビデンスはない。そこで14〜49才の被験者ら2770名が参加した23のRCTを用いてシステマチックレビューを行った。鍼の種類は電気鍼、耳鍼、頭蓋鍼、表在鍼、手首足首鍼、腹鍼でVAS、VRS、NRSで測定した痛みの軽減を主要評価項目とした。全体的にRCTの質は低くバイアスのリスクが低いと考えられたRCTは6つでそのうち3つは偽鍼よりも鍼が有意に効果的であることを示していた。今後の質の高い研究が期待される。

Yangら「FACTORS RELATED TO ACUPUNCTURE RESPONSE IN PATIENTS WITH CHRONIC SEVERE FUNCTIONAL CONSTIPATION: SECONDARY ANALYSIS OF A RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL」
先に行われた慢性の重症機能性便秘に対する鍼灸の効果に関する多施設RCTの2次解析を行った。1021名の患者が電気鍼群と偽の電気鍼群とに割り振られ、残便感のない自発的な排便の増加を以ってレスポンダー率を測定した。残便感のない自発的な排便は偽電気鍼群よりも電気鍼群で有意に増加した(62.9% vs. 37.9%; P<0.001)。

Karatayら「EFFECTS OF ACUPUNCTURE TREATMENT ON FIBROMYALGIA SYMPTOMS, SEROTONIN, AND SUBSTANCE P LEVELS: A RANDOMIZED SHAM AND PLACEBO-CONTROLLED CLINICAL TRIAL」
20〜50才の線維筋痛症の75名の女性を真の鍼群(AcG)、偽鍼群(ShG )、正規の経穴に絆創膏を貼り鍼先で押す刺激鍼群(SiG)の3群に分けセロトニンとサブスタンスPの血中濃度への鍼の効果を評価した。サブスタンスP値が真の鍼群で減少し刺激鍼群で増加したのに対して(P=0.001)、血漿セロトニン値は真の鍼群と偽鍼群で有意に増加した(P<0.001 ad P<0.01)。

Linら「USING INTEGRATIVE MEDICINE IN PAIN MANAGEMENT: AN EVALUATION OF CURRENT EVIDENCE 」
 補完医学療法は3〜6ヶ月以上にわたって持続する頭痛、肩こり、腰痛、関節痛などの痛みの治療によく利用されている。薬物治療によるアプローチが利用されてきたが忍容性、依存性、中毒性などに対する懸念があり近年ではオピオイド薬は非がん性の痛みに対しては避けられる傾向にあり、統合医療的なアプローチに注目が高まっている。そこでこれらの有効性のエビデンスを示したり、現行の研究に不足している部分などを簡潔に示す。ヨガ、リラクゼーション、太極拳、マッサージ、脊椎マニピュレーションには多少のエビデンスがある。鍼灸にはオピオイドの使用量を減らせるほどの強力なエビデンスがある。

Seoら「EFFECTIVENESS OF ACUPUNCTURE AND ELECTROACUPUNCTURE FOR CHRONIC NECK PAIN: A SYSTEMATIC REVIEW AND META-ANALYSIS 」
慢性の肩こりに対する鍼と電気鍼の有効性に関する16のRCTをもとにエビデンスを評価するため痛みの度合、身体機能不全、QOL、有害事象についてシステマチックレビューを行った。RCTの質が低いためはっきりとしたことは結論付けられないが通常療法に鍼を組み合わせるとそれぞれ単独で治療した時よりも痛みなどの評価項目が改善させられる可能性がある。電気鍼との組み合われは痛みに対してより有効性がある。有害事象は確認されなかった。

Georgoudisら「THE EFFECT OF MYOFASCIAL RELEASE AND MICROWAVE DIATHERMY COMBINED WITH ACUPUNCTURE VERSUS ACUPUNCTURE THERAPY IN TENSION-TYPE HEADACHE PATIENTS: A PRAGMATIC RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL 」
緊張性頭痛と頚椎性頭痛では非薬物治療もしばしば適応となる。そこで頭痛の患者44名に4週以内に10回の鍼とストレッチを行なった場合と鍼とストレッチに理学療法を加えた場合とを比較した。機械的な圧痛閾値(PPT)を主要評価項目とした。理学療法はマイクロ波透熱療法と筋膜リリースを行った。鍼とストレッチで緊張性頭痛は改善されるが理学療法を組み合わせるとよりよい結果が得られるのでこれらの組み合わせは推奨されるべきである。

Liuら「Effect of Electroacupuncture on Urinary Leakage Among Women With Stress Urinary Incontinence: A Randomized Clinical Trial」
腰仙部への鍼は緊張性尿失禁の女性に有効かもしれないがエビデンスは限られている。Liu らは2013〜2015にチャイナの12の病院で緊張性尿失禁の女性504名に6週にわたり18回の鍼もしくは偽鍼を行い、これらの効果について検証した。鍼は腰仙部に刺し、偽鍼はそうでない非経穴に刺さないものとした。主要評価項目は尿もれとし1時間パッドテストで測定した。副次評価項目は72時間以内の平均尿失禁回数とした。登録時の平均尿漏れ量は鍼群が18.4g、偽鍼群が19.1gで、72時間の平均尿失禁回数はそれぞれ7.9回と7.7回だった。6週時点の尿漏れ量の平均変化は偽鍼群の-2.6gに対し鍼群は-9.9gで、平均差は7.4g(95%CI4.8~10.0g、P<0.001)と有意に減少した。72時間の平均尿失禁回数の減少も鍼群で大きかった。

2016

Minchomら「A RANDOMIZED STUDY COMPARING THE EFFECTIVENESS OF ACUPUNCTURE OR MORPHINE VERSUS THE COMBINATION FOR THE RELIEF OF DYSPNOEA IN PATIENTS WITH ADVANCED NON-SMALL CELL LUNG CANCER AND MESOTHELIOMA」

ロンドンのがん治療専門施設の173名の進行性非小細胞肺がんと中皮腫の患者を鍼群、モルヒネ群、鍼とモルヒネ群の3グループに無作為に分けて、肺がんに非常によくある呼吸困難の症状の緩和への鍼の効果を検討し、鍼がモルヒネと同等の呼吸困難に対する改善作用があることが示された。


 Stener‐ Victorinら「CHANGES IN HbA1c AND CIRCULATING AND ADIPOSE TISSUE ANDROGEN LEVELS IN OVERWEIGHT-OBESE WOMEN WITH POLYCYSTIC OVARY SYNDROME IN RESPONSE TO ELECTROACUPUNCTURE」

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性は健常女性と比較してインスリン感受性が最大40%乏しい。BMI25以上の18-38才のPCOS女性17名に対して週3回、5週間の電気鍼はグルコース制御とアンドロゲン値を改善させるかを検証した。主要評価項目は全身のグルコースホメオスタシスでありインスリンクランプ法を用いて介入前後に測定した。副次評価項目はHbA1c、血中カテコラミン、脂肪細胞のサイズ、脂肪組織性ステロイドや神経成長因子(NGF)の発現の変化とした。グルコースホメオスタシスに変化は見られなかったがHbA1cは9.5%、血中テストステロンは22%、ジヒドロテストステロンは12 %減少した。迷走神経活動性のマーカーとして測定した血中セロトニン値とドーパミン代謝産物であるホモバニリック酸は21%、20%とそれぞれ減少していた。脂肪組織テストステロンの濃度は18%、アンドロステンジオンは13%減少し、交感神経活動生マーカーとして測定した成熟NGF/未熟NGF比は増加した。これらの結果から5週にわたる電気鍼はPCOS女性のHbA1c、血中および脂肪組織アンドロゲンを改善させ、これらの作用は少なくとも部分的には迷走神経の調節や脂肪組織の交感神経活動を介している。これらの結果に基づき最近ランダムか比較研究を開始した(NTC02647827)。


Lindeら「ACUPUNCTURE FOR THE PREVENTION OF TENSION TYPE HEADACHE 」
鍼は緊張性頭痛の予防によく利用されているがその有効性についてはまだ論争中である。そこで2349名が参加した12のRCTをもとに鍼の緊張性頭痛に対する有効性を偽鍼、通常療法と比較し検討した。盲検化された試験はなかったがいずれもバイアスのリスクは低く質は高かった。頭痛の頻度が50%以上減少した患者の数は通常療法群よりも鍼を受けた群でかなり多かった。長期の効果(4週以上)は研究されなかった。鍼と偽鍼では頭痛の頻度が50%以上減少した患者は偽鍼を受けた群では43%であったのに対し鍼を受けた群では51%だった。鍼は緊張性頭痛の予防に有効そうであるが、特に他の治療法と比較した研究が今後行われることが期待される。

2015

Dimitrovら「CHANGES IN COLLAGEN AND ELASTIC FIBERS IN BIOLOGICAL ACTIVE POINT ST36 OF RATS AFTER EXPERIMENTAL ACUPUNCTURE」

組織学的な手法を用いて鍼をしたラットの足三里(ST36)周囲の弾性組織やコラーゲン線維に生じる変化を調べた。鍼の周囲には組織の変形や破壊が生じていた。鍼が貫通した部分では組織は破壊されていた。これらの変化が鍼の臨床効果に影響を及ぼしているのものと考えられる。


Langhorstら「SYSTEMATIC REVIEW OF COMPLEMENTARY AND ALTERNATIVE MEDICINE TREATMENT IN INFLAMMATORY BOWEL DISEASES 」
クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸症候群に対するアメリカ国立衛生研究所NIHで定められた補完代替医療の効果についてシステマチックレビューを行った。アロエベラジェル、センシンレン、ニガヨモギ、オオムギ、ボスウェリア・セラータ、大麻、クルクミン、メマツヨイグサオイル(月見草油)、Myrrhinil intest®(コーヒーノキ、カモミール、ミルラ)、インドオオバコ、シリマリン、ソフォラ、タチキジムシロ、コムギ芽エキスなどのハーブに関する26のRCTと3つのクリニカルトライアル、豚鞭虫のRCT、生活習慣の改善や睡眠療法、リラクゼーション訓練などの7つのRCT、2つの鍼灸のRCTが見つかった。バイアスリスクはきわめて不均一だった。補完代替医療は炎症性腸症候群に有効かもしれないが研究の数が少なく、その質も不均一であるためさらなる研究が不可欠である。
2014
James R. Foxら「Anisotropic Tissue Motion Induced by Acupuncture Needling Along Intermuscular Connective Tissue Planes」
鍼の操作は結合組織の機械的な変形を生じさせ、その結果、線維芽細胞の機械的な刺激、細胞形状の活発な変化、自己分泌的なプリンシグナル伝達が起こる。我々は鍼をすると鍼から数センチ離れた周囲の組織に計測可能な組織の動きが生じることを過去の研究で明らかにした。この研究は筋間結合組織面への鍼と筋腹への鍼が組織の変位やずり応力に及ぼす影響の違いについて調べることでだった。11名の被験者にロボットによる刺鍼を行い、エコーで変位を測定した。主要評価項目は長軸及び水平方向への組織の変位や水平方向へのずり応力だった。筋と筋の間に挿した鍼の方が筋腹に鍼した時より組織の変位や応力が縦方向に伸長した。この研究で観察された異方性の組織の動きは鍼の操作による局所結合組織の細胞反応の空間的分布に影響を及ぼしうる。

Mohammadら「INFLUENCE OF DENSE DISPERSE CURRENT VIA ELECTRO ACUPUNCTURE ON KNEE OSTEOARTHRITIS 」
変形性膝関節症の患者に対して運動療法に低周波と高周波を組み合わせた電気治療を加えると膝の痛み、関節可動域を改善し、運動療法だけの場合に比べて機能的パフォーマンスの制限が減少することが示された。

Parkら「THE SAFETY OF ACUPUNCTURE DURING PREGNANCY: A SYSTEMATIC REVIEW 」
妊娠時のさまざまな症状に対する鍼灸の利用が増加しているが、その安全性についてはあまり検討されていない。そこで妊娠時の鍼灸による有害事象に関して文献を調査したところ有害事象について詳細に書かれていたものが27あった。もっとも多かったのは鍼挿入時の痛みであり、有害事象の発生は全体の1.9%と稀だった。流産リスクとの関連について報告のあった研究(妊娠早期のつわりに関して行われた)によれば流産の発生は593名中15例で一般的な流産リスクをかなり下回った。したがって妊娠時の鍼灸の利用は十分に安全性があると考えられる。

Parmenら「INFLUENCE OF ELECTROACUPUNCTURE ON THE SOFT TISSUE HEALING PROCESS 」
創傷治癒に対する鍼灸の効果については賛否両論あるため10匹のニュージーランドシロウサギを電気鍼群と対照群とに半々に分け、背中の軟部組織を欠損させたウサギの傷の修復(線維と上皮の増殖)に及ぼす電気鍼の効果について組織学的に調べた。鍼は2㎝挿入した。周波数は80Hzを用いた。2、4、6日目にバイオプシーした組織サンプルをパラフィン固定してヘマトキシリンイオジン染色とマッソントリクローム染色を行い顕微鏡で観察した。2日目の組織では鍼をした群の方が炎症が少なく、それ以降ではどちらの群も同様に減少していった。4日目の増殖線維活性は鍼群で高く6日目にはどちらの群も同じになった。上皮の厚みの動態は鍼群で2、4、6日目で高かった。電気鍼は副作用を生じさせることなく治癒プロセスを促進させることが示された。

2013

MacPhersonら「ACUPUNCTURE AND OTHER PHYSICAL TREATMENTS FOR THE RELIEF OF CHRONIC PAIN DUE TO OSTEOARTHRITIS OF THE KNEE: NETWORK META-ANALYSIS」

6753名が参加し22の治療法を含む87の研究を用いてメタアナリシスを行い変形性関節症の治療に鍼灸を組み合わせた際の効果について他の治療法と比較した。鍼灸、有酸素運動、干渉波療法、筋強化運動、パルス電気刺激、経皮的末梢神経電気刺激(TENS)の6療法を標準治療と組み合わせると有意に痛みを軽減させることが示されていたが、質のよい研究によって標準治療を上回る痛みの軽減が示されていたのは鍼灸と筋強化運動のみであり、鍼灸の方が筋強化運動よりも鎮痛効果が高かった。これより鍼灸は変形性膝関節症の痛みの軽減にもっとも有用であることが示された。


Brinkhausら「ACUPUNCTURE IN PATIENTS WITH SEASONAL ALLERGIC RHINITIS - RESULTS OF A RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL」

鍼灸は季節性のアレルギー性鼻炎の治療に広く利用されているがその科学的なエビデンスは不十分なため、422名の患者の症状および樺と牧草の花粉へのIgE感作について鍼灸の効果を検討した。鍼は8週にわたって12回行った。偽鍼群、頓服薬群と比較して鍼群は鼻炎関連QOLスコアを改善させ、抗ヒスタミン薬の使用頻度を減少させた。


Moreら「DOES OF CAFFEINE RELEVANT TO DIETARY HUMAN INTAKE CAN INHIBIT THE ACUPUNCTURE-INDUCED ANALGESIA」

痛みに対する鍼灸の効果についてはよく研究されてきている。近年鍼鎮痛におけるアデノシンA1受容体の役割が示されたが、その阻害剤であるカフェインの摂取が鎮痛にどのように影響するかは研究されていないのでマウスを使ってカフェイン摂取が鍼鎮痛に及ぼす影響について調べた。体重kgあたり10mgのカフェインを投与して両側三陰交(SP6)へのマニュアル鍼と電気鍼を行ったところ鍼鎮痛は阻害された。8日間にわたり欧米での1日の消費量に相当する7mg/kgを投与した群と中国での1日の消費量に相当する4mg/kgを投与した群とを比べると、前者では鍼鎮痛が阻害されたが、後者では阻害されなかった。これより量によってはカフェイン摂取が鍼鎮痛を阻害させることが示された。


Laoら「ELECTROACUPUNCTURE INHIBITS SPINAL SPINAL P-CAMKII TO SUPPRESS CHEMOTHERAPY-INDUCED PAIN IN RATS」

化学療法による痛み(CIP)はがん患者のQOLに影響を及ぼすが有効な対処法がないのでパクリタキセルによるCIPモデルラットに10Hz/2mA/0.4msの低周波電気鍼を環跳(GB30)に30分行い、CIPに対する鍼灸の有効性を調べた。ベースラインアセスメントの後に2mg/kg/ml i.p.のパクリタキセルあるいは媒体をそれぞれのグループのラットに0、2、4、6日目に注射しvon Freyフィラメントで過敏性を評価した。偽鍼群に対して電気鍼を受けた群はパクリタキシルによるアロディニアを有意に改善させ、媒体を注入されたラットの過敏性には影響を及ぼさなかった。効果は治療後3週にわたって持続した。解析により電気鍼が脊髄での5-HT受容体を活性化させることでCa2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ(CaMKII)のリン酸化を阻害しアロディニアを改善させたことが示された。

2012
Sniezekら「ACUPUNCTURE FOR TREATING ANXIETY AND DEPRESSION IN WOMEN: A CLINICAL SYSTEMATIC REVIEW」
不安症とうつはよくある精神疾患であり慢性化しやすく治療も困難である。そのためか鍼灸を利用する患者も多い。著者らは鍼灸のRCTの質を評価するための新たなツールとしてQuality Score for Acupuncture Trials (QSAT)を作成し、選定基準を満たした6つのRCTを用いて女性の不安症とうつに対する鍼灸の有効性と安全性を検討した。鍼灸がうつ症状改善を示すデータがあり、薬物療法に鍼灸を加えることは推奨されるが、鍼灸単独の有効性に関してエビデンスは不十分であり結論を得るにはさらなる研究が必要である。不安症についてはIsoyamaらが行った質の高い研究があり、不安症の症状を鍼灸が軽減することを示している。しかし質のよい研究の数が少なすぎるため不安症に鍼が効くというエビデンスを得るためにはさらなる研究が必要である。もっとも多かった有害事象は鍼挿入部の痛みであった。


Isoyamaら「EFECT OF ACUPUNCTURE ON SYMPTOMS OF ANXIETY IN WOMEN UNDERGOING IN VITRO FERTILISATION: A PROSPECTIVE RANDOMISED CONTROLLED STUDY」

鍼灸が体外受精の治療を受けている不妊女性の不安症を改善させることができるかを調べるため43名の女性を2グループに分け週1×4回の鍼の介入前後にハミルトン不安評価尺度(HAS)を用いて各患者の不安の度合いを評価した。経穴は神門(HT5)内関(PC6)膻中(CV17)百会(GV20)印堂を用いた。コントロール群はこれらの経穴付近に鍼を挿入した。これらの経穴への4週間の鍼はコントロール群と比較してハミルトン不安評価尺度のスコアを有意に低下させた。


MacPhersonら「ACUPUNCTURE AND COUNSELING FOR DEPRESSION IN PRIMARY CARE: RANDOMISED CONTROLLED TRIAL 」
ベックうつ評価尺度が20以上のうつ患者ら755名を対象にPHQ-9(こころとからだの質問票)の平均の差を主要評価項目とし通常療法(抗うつ薬)、通常療法と12週の鍼灸、通常療法と12週のカウンセリングを受ける群にそれぞれ1:2:2にランダムに振り分け、効果の違いを比較した。これらのどの要素が効いたのかは不明だが12週の時点で通常療法に鍼灸やカウンセリングを組み合わせた群で通常療法だけの群よりPHQ-9うつスコアが改善し、6ヶ月の時点でも通常療法群を上回っていた。鍼灸群とカウンセリング群とには有意差はなかった。9ヶ月と12ヶ月の時点では通常療法群に改善が見られたために有意差はなくなった。有害事象は報告されなかった。
2010
Goldmanら「ADENOSINE A1 RECEPTORS MEDIATE LOCAL ANTI-NOCICEPTIVE EFFECTS OF ACUPUNCTURE 」
マウスにアデノシンA1受容体のアゴニストを注射すると鍼の鎮痛作用を再現することができた。アデノシン分解酵素を阻害すると鍼によるアデノシンの発現量が増し、鎮痛作用も増強した。この研究により鎮痛作用を特性とする神経調節物質であるアデノシンがマウスへの鍼で放出され、その効果の発現にはアデノシンA1受容体の発現が不可欠であることが分かった。

Cinaら「ACUPUNCTURE DEQI INTENSITY DOES NOT CORRELATE WITH TREATMENT OUTCOME IN A FIBROMYALGIA POPULATION 」
治療効果に重大な影響を及ぼすと考えられているためチャイニーズスタイルの鍼では患者が「ひびき」を感じることをとても重要視している。鍼は刺激のタイプやツボの位置に関係なく線維筋痛症の痛みを改善させることが示されているが、この研究では鍼の刺激の強さや感覚の種類が結果にどう影響するかを調べた。鍼は週1回から開始し最終的には週3回、計18回行った。結果的に「ひびき」の感覚も刺激の強さも痛みの軽減には影響を及ぼさなかった。他の慢性の痛みの場合もそうであるのかを調べるのが今後の課題である。

Painovichら「RANDOMIZED, SINGLE BLIND CONTROLLED TRIAL EXAMINING THE EFFECTS OF ACUPUNCTURE ON THE SYMPTOMS AND PHYSIOLOGY OF MENOPAUSE 」
33名の患者の閉経前後の血管運動性症状に対して週3回の鍼、偽鍼の効果を3ヶ月にわたり検討した。どちらの群も鍼を受けなかつた場合よりも血管運動性症状ならびに症状に関連したQOLを改善させた。真の鍼だけが視床下部-下垂体-副腎系に影響を及ぼすようであり、今後研究されるべきである。
2007
Haakeら「GERMAN ACUPUNCTURE TRIAL (GERAC) FOR CHRONIC LOW BACK PAIN. RANDOMIZED, BLINDED, PARALLEL-GROUP TRIAL WITH 3 GROUPS 」
鍼と偽鍼、ガイドラインに沿った従来療法との効果を比較するため、ドイツの340の外来クリニックに通院中の慢性腰痛の患者1162名(18〜86才)の協力のもと、1回30分、週2回、計10回の鍼を受ける群(387名)、偽鍼を受ける群(387名)、薬と運動療法、理学療法を組み合わせた従来療法を受ける群(388名)に振り分け検討した。6ヶ月時点での奏効率は鍼群で47.6%、偽鍼群で 44.2%、従来療法群で27.4%だった。これより少なくとも開始後6ヶ月時点での効果は鍼、偽鍼ともに従来療法の約2倍であることが分かった。

Changli「ACUPUNCTURE FOR PERSISTENT ALLERGIC RHINITIS: A RANDOMIZED, SHAM-CONTROLLED TRIAL」
16〜70才のアレルギー性鼻炎の患者80名を鍼群と偽鍼群とに振り分け、週2回×16回行い鍼の効果について検討した。鍼が終わった2ヶ月の時点で両群に差はなかったが、その1ヶ月後には鼻の総合的な症状、くしゃみ、鼻漏、鼻のかゆみは真の鍼群の方が少なかった。鍼を受けた群では治療期間中、薬の使用回数が減った。有害事象は認められなかった。これらの所見から鍼はアレルギー性鼻炎の症状に有効かもしれないことが示唆された。


Witt CMら「WHO BENEFITS THE MOST? ACUPUNCTURE FOR PAIN IN USUAL CARE–A POOLED ANALYSIS OF THE ARC STUDIES」

様々な慢性の痛みで医療機関に通院中の患者9961名に対し、鍼の効果に影響を与える要素について調べる目的で平均10回の鍼を受けた患者と鍼を受けない患者とを比較した。3ヶ月後に痛みの評価を行ったところ通常治療に鍼を加えた群で66%、通常治療のみの群で38%に改善が見られた。通常の通常治療に鍼を加えた群において「女性」「過去に鍼灸でよくなった経験」「過去に他の治療でよくならなかった経験」という3つの要素は通常得られる鍼灸の効果を超えた効果を生じさせる可能性があることが示された。


McCulloughら「EFFECTIVENESS OF ACUPUNCTURE/ACUPRESSURE IN THE TREA TMENT OF INSOMNIA: A SYSTEMA TIC REVIEW」

鍼と指圧が不眠症に効果があるかどうかを調べるために1966〜2007年のランダム化比較試験(RCT)を「鍼」「指圧」「耳鍼」「不眠症」「睡眠」をキーワードとしてインターネットで検索した。10のRCTを質が高いと認めシステマチックレビューにまとめた。鍼と指圧が無治療あるいは偽鍼に比べて不眠症に効果がありそうだとする中程度のエビデンスがある。


Langevinら「CONNECTIVE TISSUE FIBROBLAST RESPONSE TO ACUPUNCTURE: DOSE-DEPENDENT EFFECT OF BIDIRECTIONAL NEEDLE ROTATION」

鍼の術式は鍼治療における重要な要素であるが、それがどのように作用するのかはあまりよくわかっていない。回旋術はもっともよく用いられている術式のひとつであり、これが組織に与える作用についてラット18個体から摘出した皮下組織切片を固定し共焦点顕微鏡を用いて細胞断面のサイズを測定して調べた。先の研究では一方向性の回旋術が結合組織中の線維芽細胞の刺激量依存性の活発な細胞骨格リモデリングを生じさせたが、予想した通り両方向性の回旋術でもこれらの変化が生じた。これより鍼を持つ指の微妙な操作により結合組織中の線維芽細胞の細胞骨格形状に影響が生じることが示された。

2005
Langevinら「ACTIVE CONNECTIVE TISSUE FIBROBLAST RESPONSE TO ACUPUNCTURE」
結合組織の機械的シグナル伝達は鍼灸の治療効果を説明するメカニズムとして近年提唱されている。この研究では鍼の回旋が結合組織の線維芽細胞をシート状に変形させるかを調べた。33枚のマウスの組織外殖片を死後直ちに取り出し、皮膚に平行に鍼を皮下組織に刺入した。鍼を30分留めた後に0〜12回の回旋を加えた。その後組織を固定し重合アクチンをファロイジンで染色し、共焦点顕微鏡で画像化した。線維芽細胞の横断面面積を測定すると鍼の回旋は細胞の断面積に顕著な変化を生じさせた (分散分析 P<0.001)。回旋の作用は2回旋でピークに達し、さらに回旋させると断面積は減少する。回旋による活発な細胞形状の変化は鍼が結合組織線維芽細胞の細胞骨格依存的な機械的シグナル伝達の引き金となりうることを示唆している。今度は収縮性や遺伝子発現などのこれらのシグナル伝達経路の潜在的な下流効果を調べていきたい。

Huangら「ACUPUNCTURE FOR NIGHT HOT FLASHES AND SLEEP」
鍼の閉経後の夜間のホットフラッシュと睡眠の改善に対する効果について評価し、それらの関連について調べた。
29名の閉経後の女性を鍼と偽鍼を受ける群にランダムに振り分けた。偽鍼はストレイトベルガー鍼を用い経穴を外した点で皮膚を貫かないようにした。参加者らは45才〜65才で24時間に平均7回の中程度のホットフラッシュがある女性。ピッツバーグ睡眠の質指数(PSQI)をベースライン時、試験中、研究終了後に行った。参加者らは研究の期間中ホットフラッシュの頻度や度合いの記録日記をつけた。元々睡眠の質が悪い患者を集めたわけではないが、大多数の女性(29名中26名)は
PSQIスコアが不眠症の臨床診断カットオフ値の5を上回っていた。ベースライン時においてグローバルPSQIスコアはホットフラッシュの頻度と有意な相関が見られた(r=0.414, p値=0.026)。治療終了時点では鍼は偽鍼よりもホットフラッシュのひどさ(p値=0.017)、睡眠効率の改善(ベッドにいた時間のうち眠っていた時間の割合p値=0.024)さらにホットフラッシュの頻度とひどさの改善はグローバルPSQI(r>0.413, p<0.026)と睡眠の質(r>0.427, p<0.021)の改善と相関があった。寝入るまでの時間、長さ、効率、睡眠薬の使用、日中の不具合の改善も夜間のホットフラッシュの頻度とひどさの改善と相関があった(r>0.426, p値<0.03)。鍼は夜間のホットフラッシュのひどさと睡眠の効率を有意に改善させたが夜間のホットフラッシュの頻度と睡眠の要素は改善させなかった。寝ている間にホットフラッシュがあるという女性もいるため自己申告的なホットフラッシュの測定方法は感度が不十分だったかもしれない。睡眠障害とホットフラッシュに適切に対処するようデザインされた治療プランはよりよい結果の獲得により有効かもしれない。ホットフラッシュの改善と睡眠の他の要素の改善との相関の強さについて、夜間のホットフラッシュと睡眠に対する鍼の効果はよりターゲットを絞った治療プロトコル、大きなサンプルサイズ、より客観的な測定方法での今後の調査に値する。

Schnyerら「ACUPUNCTURE IN THE TREATMENT OF POSTMENOPAUSAL HOT FLASHES」
閉経後のホットフラッシュの女性に対する鍼の効果を確かめるため、ベースライン時のエストラジオール値が50pg/mL未満でTSH値は正常の24時間に最低7回、中程度から強度のホットフラッシュのある29名の閉経後の女性を7週にわたり9回の鍼を受ける群と偽鍼を受ける群とにランダムに振り分けた。鍼群はマニュアル鍼とした。偽鍼はストレイトベルガー鍼で非経穴に刺入しない方法を用いた。女性らは毎日ホットフラッシュの記録日記をつけた。
鍼を受けた群(24.5 ±30.72%) では偽鍼群e (4.41 ±17.14%; U=56.00, p値=0.042)に比べてホットフラッシュのひどさが有意に大きな割合で変化したが頻度は変化しなかった。繰り返し測定された週毎のホットフラッシュのひどさの分散分析は鍼群がコントロール群と比べて統計的に有意な改善を明らかにした。鍼は閉経後のホットフラッシュのひどさの軽減に適切である。

Bermanら「EFFECT OF ACUPUNCTURE ON OSTEOARTHRITIS - A PHASE III, RAMDOMIZED, PLACEBO-CONTROLLED CLINICAL TRIAL」
変形性関節症は最も一般的な関節炎である。従来療法はしばしば無効であり副作用を生じることもある。変形性関節症にも鍼は使われてきたが、痛みの緩和に対する有効性についての科学的なエビデンスは曖昧なままである。そこで痛みの軽減と関節機能の改善に対する鍼の効果を偽鍼、教育の効果と比較した。変形性膝関節症の患者570名(平均年齢65.5 +/- 8.4 才)を集め、多施設ランダム化比較試験を行った。26週にわたり23回の鍼を施した。コントロール群は12週にわたり1回2時間の教育を6回受け、偽鍼群は26週にわたり23回の偽鍼に受けた。プライマリアウトカムはベースライン時、4、8、14、26週時の膝機能評価(WOMAC)スコアを用いて測定した。セカンダリーアウトカムは患者による包括的評価、6分間歩行距離、ST36身体スコアとした。真の鍼群の参加者らは偽鍼群よりも8週の時点でWOMAC機能スコアの大きな改善を示した(平均差, -2.9 [95% CI, -5.0 〜-0.8]; P値= 0.01)がWOMAC痛みスコア(平均差-0.5 [CI, -1.2 〜 0.2]; P値= 0.18)や患者による包括的評価(平均差, 0.16 [CI, -0.02 〜 0.34]; P値> 0.2)では改善が見られなかった。26週の時点では真の鍼群は偽鍼群と比較してWOMAC機能スコア(平均差, -2.5 [CI, -4.7 〜 -0.4]; P値= 0.01)、WOMAC痛みスコア(平均差, -0.87 [CI, -1.58 〜 -0.16]; P値 = 0.003)、患者による包括的評価(平均差, 0.26 [CI, 0.07 〜 0.45]; P値 = 0.02)のすべてで改善が見られた。鍼は偽鍼や教育群と比較した場合、変形性膝関節症の付加療法として機能の改善と痛みの緩和に役立つようである。
2004
Coeytauxら「ACUPUNCTURE AS AN ADJUNCT TO MEDICAL MANAGEMENT FOR CHRONIC DAILY HEADACHE: A RANDOMIZED CLINICAL TRIAL」
慢性頭痛の治療で医学的マネジメント単独では不十分な場合が多々ある。そこで付加療法としての鍼の効果を評価するため、頭痛専門クリニックに通院中の74名の患者を医学的マネジメント単独群と鍼群とにランダムに分け、鍼群は10回の鍼を6週間にわたって受けた。頭痛インパクト検査(HIT)で評価した頭痛関連QOLと頭痛日記にに記された最大の頭痛のひどさをプライマリアウトカムとし、先月の平均的な痛みのひどさ、SF-36健康調査スコア、感じた臨床的な変化をセカンダリーアウトカムとした。71名分の6週間にわたる完全なるデータが得られた。鍼を受けたグループは医学的マネジメント単独のグループと比較してHITで3.0単位の減少を示した。最大の痛みのひどさは両群に違いはなかった。対照群と比較して鍼グループの患者らにはいくつかのSF-36健康領域に大きな改善が見られた。6週時の頭痛による苦痛の減少は鍼グループで3.7倍に増えた。鍼灸は慢性頭痛の治療の付加的療法として有効である。

Linら「ACUPUNCTURE EFFECT ON NEUROPATHIC PAIN IN RATS」
150-200gの若年の雄スプラーグ-ドウリーラットで神経因性疼痛動物モデルを作成し電気鍼の効果について調べた。初めの1週間でラットをラボ環境に慣れさせた。機械的閾値に対するベースラインの肉球引っ込め反応をvon Frey hairsの非侵襲的な刺激を利用して評価した。Kim とChung が開発した手法によりラットの第5腰神経を結紮した。処置後3日間ラットを回復させランダムに電気鍼群、偽鍼群、比較対照群のいずれかに割り振った。処置後4日目に全群で処置により生じたアロディニアを評価するためベースラインを測定した。処置後5日目にこれらに割り振られたラットは電気鍼、偽鍼を開始した。7日目と9日目にも繰り返し行った。電気鍼群は直径0.3㎜長さ3㎜のステンレス製の鍼が左後肢の委中BL40と陽陵泉GB34に挿入した。Han式経穴神経刺激装置で2つの経穴に同時に持続方形波電流を流した。周波数は2〜100㎐でパルス幅は0.6〜0.2ms、刺激強度は1.0〜2.0mAと段階的に増大させる形で30分の電気鍼を行った。偽電気鍼は右後肢外側に2本の鍼をお互いの位置から1㎝離して挿し同様の通電を行った。コントロール群のラットは機械的閾値計測を行うまでプラスチック製保持器に30分間入れ、鍼は一切行わなかった。評価者にはラットがどの群なのか分からないようにし、すべての群で4、5、7、9日目に左足にvon Frey hair の非侵襲的な刺激を加え機械的アロディニアを評価した。ラットは電気鍼群に12、偽電気鍼群に11、コントロール群に7個体をランダムに割り振った。5、7、9日目、偽電気鍼群、コントロール群と比べて電気鍼群は処置後15分、30分、60分の時点で処置側で有意に高い引っ込め閾値を示した(平均値, 電気鍼4gに対し偽電気鍼/コントロールでは1.2g, p値 0.001, Kruskal-Wallis tests) 。この研究は神経因性疼痛のモデルラットにおいて電気鍼が機械的アロディニアを緩和することを示している。この研究では高い周波数と低い周波数を交互に使用したが、今後の研究ではこれらの効果の違いについて評価したい。

Marinaら「CORRELATES OF HEMODYNAMIC AND PSYCHOPHYSICAL RESPONSE IN ACUPUNCTURE BY FMRI」
鍼の刺激は臨床効果に関連するDe Qi と呼ばれる独特な感覚を生じさせる。Huiら(2001)は鍼に対応した脳の血行動態が通常の痛みの場合とは異なることを示した。De Qi の要素と複数の経穴に対する神経的な関連を理解するため機能的MRIによる実験を行った。鍼に敏感な41名の合谷(LI4)、足三里(ST36)、太衝(LV3)にどちらを行ったのか知らせずにマニュアル鍼と触刺激を267回行った。コントロール群は柔軟なナイロン製のvon Freyモノフィラメントを使ってツボにタッピングした。刺激中の脳活動をBOLD機能的MRIで測定した。1回終わる毎に痛み、圧、ひりひり感、重たさ、膨満感、暖かさ、冷たさ、麻痺感、ちくちく感、怠い痛み、鋭い痛みが経験されたかを尋ね、0〜10のスケールで記録した。De Qi は鋭い痛みを除いてリストアップされたすべての感覚を包含している。扁桃体、海馬、海馬周辺、前帯状回、前頭極、第2次体性感覚皮質への鍼の作用を数値化し、明らかに閾値を超えた信号を増減させた。ひびかせる鍼により生じる感覚は順に合谷では痛み、ちくちく感、圧、足三里では圧、痛み、ちくちく感、太衝では圧、ちくちく感、痛みだった。触刺激のコントロール群では合谷はちくちく感、暖かさ、膨満感、足三里はちくちく感、重たさ、暖かさ、太衝ではちくちく感、暖かさだった。鍼によるDe Qi感覚の要素はコントロール群と比べた場合、これら3つのツボでは特に痛み、圧、怠い痛みが有意に顕著であった。合谷への鍼は太衝や足三里よりも強い感覚を生じさせた。太衝よりも強い麻痺感、足三里よりも強い痛みとちくちく感を惹起した。術者に感じられる鍼の掴み感覚は太衝や合谷よりも足三里で明らかに大きかった。鍼群とコントロール群どちらにおいても3つのツボで圧、重たさ、膨満感にDe Qi の要素との相関が認められた。扁桃体、海馬、前帯状回、前頭極、辺縁系で麻痺感と痛みは信号を減弱させ、ひりひり感は信号を増強させた。辺縁系では扁桃体、海馬、海馬周辺の信号の変化には強い相関があった。今回の研究でDe Qi と触刺激は異なる感覚を生じさせ、麻痺感や痛みは辺縁系の活動と関連していることが分かった。

Han「ACUPUNCTURE AND ENDORPHINS 」
鍼鎮痛の研究で興味深いのは30分の鍼操作で痛覚閾値の緩やかな増加はピークを迎え鍼を抜くと急激に落ちることであり、化学的な介在物質の関与が示唆されていたが、脳脊髄液の検査によりこれらが確認された。2Hzではエンドルフィン、エンケファリン、エンドモルフィンが分泌され、100Hzではダイノルフィンが分泌され、鍼鎮痛に寄与する。これらの周波数を交互に流せばすべての線形ペプチドの脳脊髄液濃度が増えるが、片足に2Hz、反対側の足に100Hzを同時にかけた場合にはこのような増加は得られない。
2003
Mengら「ACUPUNCTURE FOR CHRONIC LOW BACK PAIN IN OLDER PATIENTS: A PLACEBO-CONTROLLED PILOT STUDY」
プラセボテクニックを用いて60才以上で半年以上痛みの続く22名の高齢の慢性腰痛患者に対する鍼の効果を評価したもの。現在行なっている治療は継続したままとし、鍼の経験者は参加基準から除外した。プラセボは鍼を挿入しないものとし、盲検化は成功したようである。このパイロット研究ではプラセボと比較して鍼は腰痛の症状を改善させた。

MacPhersonら「ACUPUNCTURE AND LOW BACK PAIN: RESULTS FROM A PRAGMATIC RANDOMISED CONTROLLED TRIAL」

イギリスヨーク市の241名の腰痛患者が参加し、鍼を受けて12ヶ月後および24ヶ月後に腰痛がどうなるかを調べた。患者らは最初の3ヶ月間に平均8.6回の鍼を受けた。鍼を受けた患者らは腰痛に対する不安がとても減った。各鍼灸師間で効果の不均一性は認められなかった。費用対効果も良好であった。24ヶ月フォローアップ時には鍼をしたグループは比較対照群よりも明らかな痛みの軽減が認められた。


Assefiら「ACUPUNCTURE FOR THE TREATMENT OF FIBROMYALGIA: A RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL」
100名の線維筋痛症に鍼灸が効くかを調べたVAS、McGill痛み質問票、SF36身体機能サブスケールで評価した。疲労感、睡眠、ウェルビーイング、全身機能についても調査した。46%の患者は臨床的に意味のある痛みの改善を得ることができた。疲労感は51%、睡眠は47%、ウェルビーイングは45%の患者で改善した。重篤な有害事象は生じなかった。

Huiら「CENTRAL EFFECTS OF ACUPUNCTURE DEQI BY FMRI: A VIEW FROM THE CEREBELLUM」

鍼に敏感な24名の健常人に対して機能的MRIを使って脳内の変化を調べた。右足三里ST36への鍼は小脳が種々の鍼の調節作用の仲介における脳ネットワークでの協調的な役割を担っている可能性を示した。


2002
Langevinら「RELATIONSHIP OF ACUPUNCTURE POINTS AND MERIDIANS TO CONNECTIVE TISSUE PLANES」

鍼灸の経穴や経絡は間質結合組織により形成されるネットワークではないかという仮説をエコー、そして連続解剖切片へのマッピングを用いて検証した。経穴位置には結合組織間隙面が見つかり、筋間結合組織、筋中結合組織と80%の一致をみた。経絡や経穴の結合組織面との解剖学的な関連性は結合組織が鍼灸の作用メカニズムに重要な役割を担う可能性を示唆している。


Whiteら「A SINGLE BLIND, RANDOMISED, CONTROLLED TRIAL TO EVALUATE THE EFFICACY OF ACUPUNCTURE FOR CHRONIC MECHANICAL NECK PAIN」

イギリスでは頚部痛の治療に鍼灸が広く利用されているため慢性の頚部痛への鍼の効果を調べた。18〜80才の慢性頚部痛患者124名が1回20分の鍼を週2回、4週にわたって受けた。1回に使用した鍼の本数は平均6本で、偽鍼ではツボへの電気刺激のみを行った。どちらも頚部痛を改善させ鍼とプラセボとの有意差は得られなかった。


Liら「ACUPUNCTURE POINT SPECIFICITY IN INHIBITION OF PRESSOR RESPONSE INDUCED BY SPLANCHNIC STIMULATION」
ケタミンとα-クロラロースで麻酔をかけたラットとネコでどの経穴が心血管での昇圧反応を阻害するかを調べ、内関-間使(P5-P6) > 手三里-曲池(LI10- LI11) > 合谷-温溜(LI4- LI7), 足三里-上巨虚(ST36-ST37) >> 光明-懸鐘(GB37- GB39), 湧泉-至陰(KI1-BL67)の順に効果があったことを示した。
 0. ラットでは両側の内関-間使(P5-P6)への30分の電気鍼(1〜2mA, 2㎐)は昇圧反応を減少させた。電気鍼を開始して10分で効果が現れ始め、治療終了後40分間継続した。足三里-上巨虚(ST36-ST37)への電気鍼も昇圧反応を阻害したがその効果は治療終了後10分しか続かなかった。光明-懸鐘(GB37- GB39)への電気鍼は昇圧反応を阻害しなかった。

 0. ネコでは内関-間使(P5-P6)と手三里-曲池(LI10- LI11)への30分の電気鍼は45分の時点で45%が、60分の時点で38%が昇圧反応を減少させた。合谷-温溜(LI4- LI7)と足三里-上巨虚(ST36-ST37)への電気鍼は15分の時点でそれぞれ24%、32%減少させた。湧泉-至陰(KI1-BL67)、偏歴-温溜( LI6- LI7)への電気鍼では昇圧反応に変化を及ばさなかった。


Smithら「PREGNANCY OUTCOME FOLLOWING WOMEN’S PARTICIPATION IN A RANDOMISED CONTROLLED TRIAL OF ACUPUNCTURE TO TREAT NAUSEA AND VOMITING IN EARLY PREGNANCY」
最近の研究は鍼灸の有資格者が行う分には鍼灸は安全であることを示したが、南オーストラリアの婦人科小児科病院でつわりや悪心のある妊娠初期の女性593名を対象に妊娠時に鍼灸を行なった場合の有害事象について調査した。鍼灸をした群としなかった群で分娩結果、先天異常、妊娠合併症、新生児のデータに差はなかった。これらの所見は妊娠初期に鍼灸を行なっても深刻な有害事象はないことを示している。

2001


Goddardら「ACUPUNCTURE AND SHAM ACUPUNCTURE REDUCE MUSCLE PAIN IN MYOFASCIAL PAIN PATIENTS」
咬筋に筋膜痛を持つ患者に対し、ここにある伝統的な経穴とそうでない部位にどちらも咬筋に鍼が刺さるように当てた場合を比較した。18名の患者がいずれかのグループに振り分けられたが、どちらの患者も鍼により痛みが改善した。

Gilbertsonら「ACUPUNCTURE AS AN ADJUNCT TO PHYSICAL THERAPY FOLLOWING ARTHROSCOPIC ACROMIOPLASY」
関節鏡下肩峰形成術後に鍼を受けた患者と偽鍼を受けた患者での関節可動域と痛みの改善具合について比較した。40名中35名が12週の鍼あるいは偽鍼を受けたところ鍼を受けたグループは偽鍼のグループと比べて痛み、関節可動域、QOLが改善し、鎮痛剤の使用が減った。

Langevinら「ACUPUNCTURE NEEDLE GRASP: ULTRASOUND ANALYSIS AND CLINICAL IMPLICATIONS」
超音波顕微鏡を用いてラットの腹部結合組織片に挿した鍼を回旋させるほど"Needle Grasp"と呼ばれる生機械的現象が起き鍼を引き抜くのに必要な力が増すことを示した。これにより結合組織に構造的な変化が生じ、細胞への機械的なシグナル伝達、遺伝子発現の変化、アクチン重合による細胞の形状変化などの下流効果が起こることにも言及した。

Ernstら「Prospective Studies of the Safety of Acupuncture: A Systematic Review」
Ernstらは鍼の安全性について検討を行った。最も多かった有害事象は刺鍼の痛み(1〜45%)であり、疲労感が2〜41%、出血が0.03〜38%、ふらつき感や失神は0〜0.3%と稀であった。86%の患者がリラックス感を得た。気胸の発生は稀であり2万5千回に2回程度であった。鍼は細かな有害事象を生じることがあるが安全な療法と結論づけた。

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