鍼灸に効果が期待できる症状

これまでの経験から鍼灸は頭痛、腰痛、神経痛、関節痛といった痛みの症状全般、月経前症候群、うつなどに効く印象がありますが、鍼灸がどんな病気や症状に効くのかは科学的にはっきりと分かっているわけではありません。


健康増進やさまざまな症状の緩和に対して鍼灸の利用を希望する退役軍人が多いことからアメリカ退役軍人局内で鍼灸に効果が期待される3領域(痛み、健康維持、メンタルヘルス)の疾患あるいは症状について2002年以降のシステマチックレビューと大規模な無作為化比較研究をまとめて2014年に鍼灸エビデンスマップとして発表しました。

これです↓
画像は発表された文献から引用しています。
痛み、健康維持、メンタルヘルスの3領域について、文献数(Y軸)、治療効果(X軸)、確実性(バブルの大きさ)を使ったバブルチャートを示しています。

まずは痛みについて。

文献数が多く、確実性も高く、効果が期待できる順に頭痛、慢性の痛み、片頭痛、次いで月経痛、変形性関節症、がん性の痛み、分娩、前立腺炎、顎関節症などが続きます。


これまでの経験を踏まえてもこれらに対して鍼灸を積極的に試してみるのはいいと思われます。

次に健康維持について。

不眠、禁煙、術後の悪心嘔吐、むずむず足症候群に効く可能性があります。

術後の悪心嘔吐の患者さんに鍼をしたことはありませんが、その他の3つ、不眠、禁煙、むずむず足症候群についてはこれまでによくなった患者さんがいます。

最後にメンタルヘルス。
メンタルヘルス領域ではうつ、統合失調症、不安、PTSDに効く可能性が示されています。

これらの3領域以外には脳卒中リハビリテーションについて9つのシステマチックレビューが報告されています。鍼灸の有効性を示す報告がある一方で鍼灸の効果は不明だとする報告もあります。

不妊治療に対する鍼灸の効果に関して、体外受精での妊娠率に対する24の無作為化比較研究を含む6つのシステマチックレビューがありますが結論は一致していません。そのうち最大規模のシステマチックレビューは鍼灸が妊娠率および出生率を改善させると結論していますが、コクランレビュー は鍼灸の利用が妊娠に役立つという証拠はないとしています。


その後2017年にオーストラリア鍼灸漢方協会が鍼灸研究の質が高くなっているとしてシステマチックレビューとメタアナリシスを鍼灸エビデンスプロジェクトとしてまとめています。122症状のうち8つの症状について鍼灸の有効性を示す強力な根拠があり、38症状について中程度の根拠があると報告しています。

効果がある疾患として新たに加えられた症状は「アレルギー性鼻炎」と「変形性"膝"関節症」です。


効く可能性のある症状にはかなり多くが付け加えられました。


急性腰痛不安アロマターゼ阻害剤による関節痛喘息妊娠中の腰痛および骨盤痛がん性の疲労便秘ドライアイ高血圧(降圧剤との組み合わせ)過敏性腸症候群陣痛テニス肘更年期のホットフラッシュ感覚受容性閾値の調節肩こり肥満閉経前後の不眠かかとの痛み脳卒中後の不眠脳卒中後の肩の痛み脳卒中後の痙性PTSD(心的外傷後ストレス障害)前立腺炎による痛み/慢性骨盤痛症候群大腸直腸癌切除後の回復坐骨神経痛肩インピンジメント症候群(早期、運動療法との組み合わせ)肩の痛み脳卒中リハビリテーションです。