「親指を曲げる筋肉」論争
富士市の筋膜鍼 朝霧高原治療院の田中です。
昨日の治療中に「長母指屈筋の起始はどこか」について植松と田中で意見が分かれました。こういうのは前向きに捉えるととてもいい勉強になります。
昨日その場でサーチした論文はインド人のデータでした。「約半数の人にGantzer筋と呼ばれる補助筋束が存在し上腕骨内側上顆に起始する」という話で、「どうも半々らしい」ということでひとまず落ち着きました。
そこで終わらせないのが朝霧高原治療院流。
その後論文サーチした結果、日本人を対象にした論文が見つかりました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/49/3/49_3_845/_pdf
36体72肢のうち両側に補助頭がある人は全体の61%、片側だけの人は全体の16.7%。補助頭の90%は浅指屈筋近位から生じていて、尺骨鈎状突起から始まるものが6%。「筋力テスト」の教科書にあるように上腕骨内側上顆から始まるものは0%だったようです。
一方昨日パッと目を通したインド人での論文がこちら。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3616547/#__ffn_sectitle
90体180肢で検討されていて、92肢(51%)で補助頭が認められ、90体のうち33体では両側に認められ、片側にあったのは26体(右16体、左10体)。尺骨鈎状突起から起始しているのが76体(82.6%)、上腕骨内側上顆から始まるものが10体(10.9%)で植松さんが勉強した「筋力テスト」の教科書の記述はこれを示したものと思われます。
まとめとしては、日本人で上腕骨内側上顆からの起始がある人はまれ。ほとんどの人では長母指屈筋は「回外筋停止部より遠位の橈骨掌面と前腕骨間膜から出ている」と考えるのが妥当なようです。
インド人の方が補助筋束を持つ人が多いのはおそらく日本人に比べてよく手を使ってるからじゃないかと推測しました。
治療院がこういう雰囲気でいられることをとてもうれしく思った1日でした。
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