筋膜:予習
今日は河口湖でバラの花がらを切り取ったりしてから筋膜の文献を読んでいました。
夏の終わりに筋膜研究者のカーラ・ステッコ先生が来日するのでその予習です。
要約
2019 Ejtm Special on Muscle Fascia
Carla Stecco, Raffaele De Caro
https://www.pagepressjournals.org/index.php/bam/article/download/8060/7983/
解剖学では筋膜は長年、筋肉の神経や血管を見つけるために解剖台の脇に取り除かれる「筋肉を覆う白い封筒」のようなものだった。これが筋膜に関して異なる記述が存在する理由のひとつである。一方で過去数年間で筋膜やその特性が従来療法および代替療法の臨床家の間で中心的に重要なものとなってきている。世界各国での研究活動から有意かつ重要なデータが構築されてきているが、伝統的な筋、腱、骨に基づく生機械的モデルと筋膜に関する新たな知見をどのように統合するのかが徹底的に理解されていないため、この臨床的な興味は立証されていない。このギャップを埋めるため2019年9月30日に「Ejtm Special on “Muscle Fascia」が出版される予定になっているが、全著者が電子論文を承認し次第、Ejtm 早期リリースリストに原稿が追加される。オリジナル記事とレビューの締切は2019年7月1日だが編集者は著者らが早めに原稿を入稿してくれることを期待している。
長年筋膜は解剖学者から「筋肉を覆う白い封筒のようなもの」とみなされ、マクロ解剖、組織解剖の分野であまり注目されて来なかった。筋膜は神経や血管を見るために筋膜を解剖台に取り除かれ、筋膜がこれらの構造物をつなげ、また分離していることに価値を見出せなかった。おそらくこのような理由で筋膜について異なる記述が存在している1-2 。
これとは対照的に最近では筋膜とその特性がさまざまな従来療法および代替療法の臨床家にとって中心的な重要性を持つようになってきており、筋膜組織は事実上多くの専門分野で幅広く研究される対象となっている。世界各国での研究活動から有意かつ重要なデータが構築されてきているが、伝統的な筋、腱、骨に基づく生機械的モデルと筋膜に関する新たな知見をどのように統合するのかが徹底的に理解されていないため、この臨床的な興味は立証されていない。
Carla Stecco と Raffaele De Caroをゲスト編集者に迎えた「2019 Ejtm Special on Muscle Fascia」の目的は組織、筋外膜、固有受容、運動協調など複数の疑問に焦点を当てたものとなる。
Eur J Transl Myol 29 (1): 1-3, 2019
# 筋膜は痛みの受容に役割を担うか?3-5
# 動作時に筋膜と筋はどのように相互作用するか?筋膜は姿勢に役割を担うか?6
# 筋膜はエコー、MRI、CTにどのように表れるか?これらの機器は生体での筋膜構造の我々の理解を助けるか?そして筋膜と周囲組織との関係性は?7-10
# 細胞外マトリックスの役割とは何か?特にヒアルロン酸について 11
筋膜は弾性組織と考えてよいか?筋膜内の弾性線維の割合は?部位毎の違いはあるか?12
# 筋膜に神経支配はあるのか?筋膜内にどのようなタイプの受容体があるのか?筋膜が固有受容に担う役割は? 13-15
筋膜は基本となる張力を持つのか?自発的に収縮するキャパシティを有するのか?16
#筋膜が運動協調に担う役割とは?17
可動性と痛みのリハビリテーション戦略の多くのツールに対してこれらの疑問への解答が加えられる予定であり18-30、筋膜の生機械的なふるまいや、急性および慢性の筋膜性疼痛症候群における役割、さまざまな療法の有効性に関する臨床家の理解に寄与するだろう。
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