偏頭痛に鍼が効く7つの理由
昨日ミシガン州鍼灸師会のフェイスブックページで紹介されていた記事です。
最近読んでいるアメリカ退役軍人省の鍼灸エビデンスマップでも偏頭痛は慢性の痛みと並んで鍼に最も効果を期待できる疾患のひとつです。
これまでの経験からしてもたしかに偏頭痛で鍼にくる患者さんはほぼ全員が女性で、ほとんどの方が改善しています。
CSD(皮質拡延性抑制)については知らなかったので勉強になりました。
でもこの記事、去年の記事ですね…まあいいか。
以下訳文です(誤訳御免)。
偏頭痛に鍼が効く7つの理由
偏頭痛認識週間2018が2018年9月2日〜8日まで行われた。
偏頭痛信託組合によれば偏頭痛は約7人に1人が抱える世界で3番めに多い疾患である (Steiner et al, 2013)。
慢性偏頭痛は世界人口のおよそ2%に影響を及ぼし、男性に比べて女性に3倍多い。
ある研究はイギリスで日々19万件以上の偏頭痛発作が起きていると示唆している (Steiner et al, 2003)。
鍼は細い針を特定のポイントの皮膚に挿入する治療法である。チャイナが発祥だが今は偏頭痛の治療に多くの国々で利用されている。
鍼が偏頭痛の治療に有効であることは多くの証拠が示している。
コクランレビューでも偏頭痛に対する鍼の有効性が支持されている
偏頭痛の予防に対する鍼について2016年に全体で4,985名が参加した25のランダム化比較試験をコクランがまとめたシステマチックレビューは鍼が最もよく研究された治療法であるときっぱりと位置づけている。
レビューでは発作に対する対症療法に鍼を加えると頭痛の頻度が減少することを見出している。過去の所見に反する形で、アップデートされたエビデンスは鍼は偽鍼より効果は高いがその差はわずかであることも示している。偽鍼は鍼よりも単純に効果が薄いだけでプラセボではなく、そのため差が大きくならないのではないかと予測される。
またある研究では鍼が(偏頭痛の)予防薬と少なくとも同等の効果がある可能性があると示唆している。
レビューは鍼はこの治療法を受けてみたいと希望する患者のオプションであると結論づけている。
NICEは偏頭痛に対する鍼を推奨している
イギリス国立医療技術評価機構(The National Institute for Health and Care Excellence)はトピラメートやプロプラノロールがどちらもあまり効かなかった場合には偏頭痛の予防治療として10回の鍼のコースを受けてみるように勧めている。
鍼はとても安全な治療だと考えられている
別個に行われ2001年に英国医療ジャーナルに発表された2つの調査は鍼に対する深刻な有害反応のリスクは1万分の1であると結論づけている。これは従来行われている多くの医学的治療よりもかなり少ない。
1つの調査は鍼灸師、もう1つは鍼をする医師と理学療法士(※日本では鍼灸師の国家資格を有しない理学療法士が鍼をすることは認められていない)を対象にした調査である。全部で6万6千回の治療が検証されたがマイナーなわずか一握りの、そして一過性の副作用が記録されるにとどまった。
鍼の患者6,000人を対象にした2003年の調査でもほとんど同じ数字であった。
鍼の有資格者が行う場合には鍼の副作用が生じることは稀である。めまいや鍼した部分の内出血といった軽い副作用は起こるが、それらは軽度であり、自然治癒する。
偏頭痛に鍼がよいとされる7つの理由
1. 痛みが和らぐ
筋やその他の組織にある神経を刺激することにより、鍼はエンドルフィンやその他の神経液性因子を放出し、脳や脊髄での痛覚プロセスに変化を生じさせる (Zhao 2008, Pomeranz, 2001)。
2. 炎症を減少させる
偏頭痛は炎症に関連しているとするエビデンスが増えている。鍼は血管調節性因子や免疫調節性因子の放出を促進させて炎症を抑える (Kim, 2008; Kavoussi, 2007; Zijlstra, 2003)。
3. CSDの程度を減少させる
CSD(皮質拡延性抑制)は偏頭痛に関連した脳波の抑制である(Shi, 2010)。(※ CSDは脳皮質のある1点で神経の過剰興奮が起こった後、過剰興奮とそれに続く抑制が徐々に広がっていく現象で、偏頭痛の病態に重要な現象であると考えられている≒偏頭痛のある人は脳の過剰興奮が起こりやすい。CSDはてんかんや脳虚血などの病態進展にも関連があるとされ注目されている。)
4. 血漿中のカルシトニン遺伝子関連ペプチドやサブスタンスP値を減少させる(Shi, 2010)
これらは頭の伝達に関わる神経ペプチドで、偏頭痛の病態に関連する可能性がある。
5. 頭蓋内外の血流を調節する (Park, 2009)
脳血流の変化は偏頭痛の発症に必須ではないが、寄与する可能性がある。
6. 脳内のセロトニン値に影響を及ぼす (Zhong, 2007)
セロトニンは偏頭痛の発症と(セロトニン値を促進させる薬剤であるトリプタン(商品名:イミグラン)を介する)急性発作の寛解の両方に関連している可能性がある。
7. 局所の微小循環を増加させる (Komori, 2009)
浮腫の拡散を助ける
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