偏頭痛に対する鍼
朝霧高原治療院の田中です。さすがにもう眠いので寝ます。偏頭痛に対する鍼の有効性についてです。
Acupuncture for the prevention of episodic migraine.
間欠的な偏頭痛の予防に対する鍼
Linde K, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2016.
鍼は偏頭痛の予防にしばしば利用されるが、その有効性は未だ論争中である。我々は今回2009年のコクランレビューをアップデートした。鍼が成人での間欠性偏頭痛の予防について、a)予防薬/日常ケアのみより有効か?、b)偽鍼より有効か?、c)薬剤を用いた予防治療た同程度に有効か?についてコクラン、パプメドその他を使って調査した。上記の項目についての研究期間が8週以上のランダム化比較試験を調査対象として含めた。治療後とフォローアップ時の偏頭痛の頻度を主要評価項目とした。4985名が参加した22研究が包含基準を満たした。前回含めた5研究は偏頭痛が12ヶ月未満の患者を含めていたので除外した。そして新たに5つを加えた。鍼をしない群を対照とした研究が5つ、偽鍼を対照とした研究が15、予防薬を対照とした研究が5つあった。鍼をしない群と予防薬の群との比較では盲検化ができないため行動バイアスと発見バイアスのリスクがあった。全体にエビデンスの質は中程度であった。鍼をしない場合と比較して鍼した後は鍼をしない場合よりも中程度に頭痛の頻度を減少させた(2199名が参加した4研究)。治療後の頭痛頻度は少なくとも鍼を受けた41%の参加者、鍼を受けなかった17%の参加者で半減した。治療後のフォローアップのある研究が1つだけあり、無作為化から12ヶ月後の小さいが有意な有効性を見出した。偽鍼との比較で、治療後とフォローアップ時の両方で鍼は偽鍼に比べて小さいが統計的に有意な頻度の減少に関係があった。治療後の頭痛の頻度は真の鍼を受けた群では50%、偽鍼を受けた群では41%でそれぞれ半減した。副作用により中断した参加者、副作用を報告したら参加者の数は鍼群と偽鍼群との間に有意な差は認められなかった。予防薬との比較で、鍼は治療後において予防薬と比べて偏頭痛の頻度を有意に減少させたが、この有意差はフォローアップ時まで持続しなかった。
3ヶ月後の頭痛の頻度は鍼を受けた群の57%、予防薬を服薬した群の46%でそれぞれ半減し、6ヶ月時にはそれぞれ59%、54%だつた。鍼を受けた群では予防薬を服薬した群よりも中断や副作用の報告が少ない傾向にあった。これらのことから頭痛発作の対症療法に鍼を加えると頭痛の頻度を減少させることが示唆された。過去の所見とは逆にアップデートされたエビデンスは鍼は偽鍼より有効だがその差は少ないことが示唆された。また鍼には予防薬との同程度の効果があることも示唆された。鍼をしたい患者には鍼は考えられるオプションである。偏頭痛の治療として、一年以上にわたる研修は不足している。
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