鍼灸のスタイル

鍼灸に少し詳しい人は聞いたことがあるかもしれませんが、鍼灸は学校を出て国家試験に合格したらその後、鍼灸師にはインターンシップというものが義務づけられていません。

学校では解剖学、生理学、臨床医学各論、臨床医学総論、医療概論、公衆衛生、病理学や、その他指圧や鍼灸の実技や東洋医学理論などを学びますが、卒業後の勉強は各鍼灸師に任されています。

受けてみれば分かるかもしれませんが各鍼灸師によって治療方法がバラバラです。

トリガーポイント鍼、長野式、キーコスタイル、入江FT、漢法鍼、経絡テスト…とあげればキリがないほどいろんなやり方があります。

私の場合は初め伊勢崎藩の藩医だった今村了庵先生から数えて4番目の先生から漢法鍼を習いました。

その後内科に勤めるようになってからは解剖学アトラスを見ながら筋肉の腱に鍼を当てるようになりました。漢法鍼のツボと一致している場所が多いです。

それからは鍼灸の科学的な研究報告を参考にしながら、結合組織の、よくいわれる筋膜重積部分を指圧やエコーで見つけて鍼を当てるやり方で鍼灸治療をしています。

このやり方だと鍼灸古典の「鍼灸大成」に「治療効果を得るのに必須」と書いてある「得気」が強く得られます。このズーンとした鍼特有の重だるい感覚は日本では「ひびき」と呼ばれています。

こんな論文がありましたが、だいたいこんな考え方だと思ってもらえればいいです。
http://aim.bmj.com/content/acupmed/27/1/33.full.pdf

西洋医学鍼は細い針を刺入する治療法である。解剖学、生理学、病理学の現代の知識とEBMの原則を利用した中国鍼の焼き直しである。西洋医学鍼は中国鍼から徐々に発展したが、西洋医学鍼の治療家は陰陽や気の流れといった概念に執着せず、完全な「代替医療システム」というよりは鍼を従来医療の一部と見なしている。鍼には逆行性の軸索反射、分節性、分節外性の神経調節、その他の中枢神経系の作用が関係しており、神経系を刺激することによって作用する。西洋医学鍼は主にプライマリケアの医療従事者らによって原則的に用いられる。主に筋膜トリガーポイント痛などの筋骨格系の痛みの治療に用いられるが、術後の痛みや悪心にも有効である。西洋医学鍼の治療家は通常神経系を刺激するための最適な場所として伝統的な経穴を選ぶが、伝統的な鍼師に比べて経穴を探ることにあまり注意を払わない傾向がある。鍼の適切な刺激量の知識の不足や、「プラセボ対照」研究で通常の対照手法として用いられるような鍼の方式が有効である可能性により、臨床研究のデザインと解釈は制限される。西洋医学鍼は近代医療サービスの中での役割のバイアスのない評価を正当化する。

イントロダクション
この記事の目的は西洋医学鍼の定義と実践を定義し、記述し、編集委員らから承認されることである。鍼の現代的な定義を発展させる理由は古代のイデオロギーを破滅させることなく現代の医療サービスのなかでこの治療の客観的な評価を促進することである。

西洋医学鍼の定義
西洋医学鍼は細い針を刺入する治療法である。現代の解剖学、生理学、病理学の知識と、EBMの原則を用いた中国鍼の焼き直しである。
およそ2,000年前に中国人は鍼を刺すことが身体のさまざまな機能に影響を与えることを発見し、その当時のイデオロギーでこれを説明した。科学革命、特に比較的最近の神経伝達物質や神経可塑性の発見以来の概念的な進歩は鍼のメカニズムの新たな理解をもたらし、西洋医学鍼という新たな用語を正当化した。西洋医学鍼という用語は中国医学の一部としての鍼から区別するのに使われている。西洋医学鍼と中国鍼の2つの重要な違いは、西洋医学鍼では陰陽や気の流れといった伝統的な概念を含まないこと、西洋医学鍼は「代替」医療システムであると主張しないことである。
中国鍼の基盤を形成するイデオロギーは西側の医療従事者からはしばらく前から捨てられている。19世紀には英国の医師らは筋骨格系の痛みを和らげるために痛みが最大のところに単純に針をしていた。鍼の科学的なアプローチへの現在の興味の高まりは影響力のある医学的に訓練された鍼灸師であるFelix Mannが1970年代に「伝統的な意味での経穴や経絡は存在しない」と宣言したおかげである。これは鍼で患者らをよくしたいが、科学的な観点と一致させることが困難な伝統的な説明に懸念を持っている医療従事者らを共感させた。同時にオピオイドペプチドの放出を刺激することが発見されたり、ゲートコントロール説が形成されたりして、鍼そのものの信頼性も高まった。
他の国々では中国鍼の概念が専門グループによって広く用いられているが、西洋医学鍼は西側社会、特に英国とスウェーデンの主に普通の医療従事者らによって行われている鍼の形態である。西洋医学鍼の理解は定まっておらず、制限された数の経穴への最小限の鍼、鍼灸治療領域の特定、痛む筋のトリガーポイントの上の皮下への鍼、鍼を神経生理学の概念により正確に適合させる試みなどが含まれている。

作用様式
鍼は多くの症状の治療に利用されているが、臨床試験からの現在のエビデンスは主に悪心の改善、さまざまなタイプの痛みの改善に対する効果を支持している。これらの異なった症状への作用は鍼が単独の様式で作用するのではなく、さまざまな機能に対する幅のある効果を持ち、鍼の研究や理解を複雑にさせることを示唆している。
鍼の主な治療効果は経皮的な電気による神経刺激や脊髄刺激を伴う神経系の刺激(感覚刺激)とのオーバーラップによって達成される。鍼の刺鍼は局所の逆行性軸索反射、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(痛覚受容体から放出される)、局所の栄養血管の血流の改善を介した局所の効果を持ち、例えば唾液腺の機能などを改善させる。脊髄や脳では鍼がオピオイドペプチドやセロトニンを放出させるという確立されたエビデンスがある。筋骨格系の痛みに対する臨床効果は下降性抑制経路の活性化による後角での痛覚経路の阻害(分節効果)と筋膜トリガーポイントの局所あるいは分節効果によって説明される。
悪心への作用をまだ十分に説明し得ていない中枢神経系への鍼の明らかに別の作用がある。機能的MRIやPETを用いた画像研究は島など特に辺縁系の痛みのコントロールに関わるいくつかの脳部位に対する効果のエビデンスを提供している。これらの効果は単純に皮膚を鍼で刺激した時に見られるよりもいくらか大きく、特別な鍼感覚の惹起によるようである。
鍼がよく利用されるその他の臨床領域は筋膜性の痛みであり、従来医学で最も多く研究されてはいるが論争中の症状である。納得できる作用様式は記述されていないが、従来医学的に記述された筋膜トリガーポイントが遠い昔に記述されたいくつかの伝統的な経穴と一致するということには価値があると言える。

西洋医学鍼の利用
西洋医学鍼は西洋医学の診療所、リウマチ科、整形外科の医師、理学療法士、看護師その他の医療従事者らが行っている。It is practised using the principles of EBM, though it has to be admitted that there is scope for more clinical trials, and treatment in many clinical areas relies on clinical experience.EBMの原則を用いて治療を行っているが、多くの臨床試験の範囲があり、多くの臨床範囲において治療は臨床経験に信頼を置くことは認められなくてはならない。
鍼は痛みの緩和、特に筋骨格系の痛みに最も多く利用されているが、神経炎やがん性疼痛などその他の慢性の痛みにも利用されている。臨床では処置痛、術後痛、悪心の抑制 に利用されることは稀であるが、これらにも効果があることが示されている。エビデンスはあいまいだが、不妊の管理において、特に体外受精などの従来療法に加える形で利用されている。
伝統的な鍼とは異なり、西洋医学鍼アプローチを採用する医師らは病気を治療する中心として鍼を使用することは一般的には考えておらず、鍼により健康を保つことができると主張することもない。
西洋医学鍼での治療は従来医療の検査、適切な調査、診断から鍼が適応であると確認された場合に行われる。求められる生理学的効果を得るために症状のある局所あるいは分節的に関連のある部位に鍼を刺入して刺激する。さらに中国鍼でよく使う手や足にある一般的な経穴に鍼をすることで分節外あるいは全体的な効果が求められる。
伝統的な鍼はそれぞれの経穴が得意的な作用を持つと考えているが、西洋医学鍼では経穴を探ることに関してそれほどの注意を払わない。伝統的な経穴は全員ではないが多くの西洋医学鍼の施術者らによって神経系の感覚刺激におそらく最適であろうという仮説の上で用いられる。より多くの注意は組織レベル(例えば皮膚より筋肉)、与える刺激の量などに向けられる。伝統的な経穴の専門用語は鍼灸師同士のコミュニケーションにおいては便利なので使われている。
このように伝統的な鍼と西洋医学鍼は治療技術という点では比較的違いはない。どちらもマニュアルと電気の刺激を使うし、鍼をする時間はとても簡潔に済ませることもあれば20〜30分かける場合もありさまざまである。

鍼研究への影響
鍼を感覚刺激であるとみなすアプローチは臨床研究のデザインと解釈への明らかな影響をある程度持っている。まず残念なことだが一定の症状にどのくらいの刺激量が適正であるのかを決めるための有効な情報が不十分である。各患者らの中枢神経の反応を得るために必要な刺激量は患者ごとに決められなくてはならないが、参考にするためのデータがわずかしかなく、研究で鍼治療する際の刺激量は適正以下かもしれない。また伝統的な経穴は「最適な」場所かもしれないが、神経系を刺激できる場所はそこだけではない。よって「正しくない」経穴に鍼をすることが即ち有効なプラセボ対照、とはなり得ない。Sham鍼と呼ばれるものは効果の薄い鍼、とみなすのがふさわしく、無効なプラセボではない。
これらの問題点は研究結果の解釈を明らかに難しくしている。いくつかの症状に関して鍼は標準的な従来療法よりも有効であるというエビデンスがある。Sham鍼と比較した時、(Verum)鍼がしばしばShamとの差がそれほど出ないのは、そのような研究が「2つの感覚刺激を比較しているだけ」であるからだと予想される。あらゆる研究をもとにしたシステマティックレビューは鍼が悪心、腰痛、術後の痛み、膝の痛み、緊張性頭痛(しめつけられるような頭痛)に対して(Verum)鍼がSham鍼と比べて明らかに効果が高いことを示している。
まとめとして、西洋医学鍼はしっかりとした神経生理学の原理に基づく治療であり、こうした理由から現代の医療サービスにおけるその立ち位置のバイアスのない評価を正当化する。


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