強い電気針と弱い電気鍼、慢性の痛みにはどちらが効くのか?

鍼灸師の田中です。このところギックリ腰の患者さんがチラホラ。鍼師としてはこれが鍼で改善してくれるかどうかというのがとても気になるところなのですが…なんとかみなさん楽になってくれているようで安心したところです。

さて。

強い電気鍼と弱い電気鍼はどちらが痛みに効くのか?という論文を見つけまして少し読みましたがかなり興味深い内容でした。これまで読んだ文献の内容と組み合わせて日頃の鍼に役立てていこうと思います。

以下要約です。

変形性膝関節症患者の慢性疼痛に対する電気鍼の強さの効果

身体の離れたところに刺激を与えると脊髄後角などのニューロンの活動が脳によって抑制されて痛みが和らぐ。広範囲侵害抑制性調節(DNIC)と呼ばれてきたこのメカニズムをconditioned pain modulation(CPM)と呼ぶことが提言されている。

このCPMが変形性膝関節症などの患者では障害されている。このランダム化比較臨床試験では変形性膝関節症の患者の慢性疼痛に対して、強い電気鍼がCPM機能の強化により、弱い電気鍼や偽電気鍼と比較してより効果的であるかを研究した。
 
301名の患者を2mAを超える強い電気鍼群、0.5mA未満の弱い電気鍼群、ツボでない部位に鍼をする偽電気鍼群の3グループに分け、多施設一重盲検ランダム化比較試験を行った。

各グループとも鍼は週に5回、2週にわたり行った。主要評価項目にはビジュアルアナログスケール(VAS)、ウエスタンオンタリオとマクマスター大学変形性関節症指数(WOMAC)を用いた。

ランダムに振り分けられた変形性膝関節症患者301名中90%に当たる271名(平均年齢63.9才)が試験を完了した。

1週間の電気鍼はVASとWOMACに臨床的に重要な改善を示したが、CPM機能はそのままであった。2週の鍼が終わった時点で電気鍼はVAS、WOMAC、CPMのすべてがベースラインより改善していた。

偽電気鍼、弱い電気鍼と比較して強い電気鍼はCPM機能をより改善させた。弱い電気鍼と比較して強い電気鍼はVASとWOMACスコアを減らし、CPM機能を促進させた。

変形性膝関節症患者のCPM機能改善のために鍼を使う場合には少なくとも2週間の電気鍼をするべきである。強い電気鍼は弱い電気鍼と比較して痛みの強さを改善させ、慢性の痛みを阻害する。

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