慢性の痛みとうつに対する鍼
朝霧高原治療院の田中です。今日はあいにくのお天気ですね。何もする気がしないので今日も鍼の論文を読みました。朝から読んで今午後3時半。よくもまあ飽きずに読めたものです。
結果から言うと慢性の痛みには鍼はよさそうですよ、ということなのですが、統計について知らなかったこと(沢山あるのですが)が書かれていて、今日もまたひとつ新しい知識に触れることができました。
それにしても冷たい雨ってイヤですね。
さて抄録です。
プライマリケアにおけるうつと慢性の痛みに対する鍼:研究プログラム
H.McPherson ら. 2017
近年鍼の利用は増えてきているが臨床上の有効性や費用対効果に関するそのエビデンスはまだ十分確立されてはいない。エビデンスの基盤に関連する疑問点について言及することはより広いアクセスが適当であるのか?また金銭的価値を提供するのか?について不確実性を減らし、政策担当者および決議担当者に役立つ。
我々の目的は最近の質の高い臨床研究などの関連エビデンスを引用して慢性疼痛に対する鍼の臨床的な有効性と費用対効果に関する最も信頼できるエビデンスを確立し、うつに対する鍼のフレッシュなエビデンスを展開することだった。エビデンスの基盤を広げるために我々はしっかりとしたシステマチックレビューの手法を用いてこれまでに発表された臨床研究の結果を合成し、うつに対する鍼の無作為化比較対照試験(RCT)を行った。
我々は総勢1万8千人近い患者が参加した首や腰の筋骨格系疼痛、変形性膝関節症、頭痛、偏頭痛などの慢性疼痛に対する鍼に関する質の高い臨床研究の結果を合成した。Individual patient data (IPD) メタ解析では全ての症状に対して鍼は偽鍼(p < 0.001)や通常治療(p < 0.001)よりも有意に効果的であった。ネットワークメタ解析を用いて、我々は変形性膝関節症に対して他の理学療法と鍼とを比較した。すべての可能なエビデンスの解析と要約指標を用いた質の良い研究の亜集団の解析のどちらにおいても我々は鍼がより有効な治療法のひとつであることを見出した。我々は不均一な連続した結果を評価するための多数の個々の患者レベルのデータセットを解析するために新しいベイズ統計の手法を開発した。付随した費用対効果解析はすべての研究が合成された時に、完全に健康な1年間(質調整生存年 )毎に£20,000の閾値で(←よく理解できない)変形性関節症に対して経皮的電気刺激(TENS)のコストパフォーマンスがいいことを見出した。解析が適切な割り振りの隠蔵を伴う質の高い研究に制限された場合、鍼は費用対効果が高かった。半数の患者が痛みも伴ううつに対して鍼あるいはカウンセリングを通常治療と比較したRCTでは、我々は鍼およびカウンセリングが臨床的に有効であり、鍼の費用対効果がよいことを見出した。鍼が適切ではないもしくはできない患者にはカウンセリングは費用対効果がよかった。
我々は慢性疼痛に対する鍼の質の高い臨床研究から最もしっかりとしたエビデンスを提供した。質の高いIPDの合成は鍼が通常治療や偽鍼よりもより有効であることを見出した。鍼は変形性関節症に対して臨床的に有効な理学療法のひとつであり、質の高い研究のみが解析された場合には費用対効果に優れている。
すべての研究が解析された場合、TENSは費用対効果に優れていた。うつに対して鍼は臨床的かつ経済的に見込みがあるので、他の周辺環境やセッティングに広げる必要がある。我々が研究したこの症状に対して、この研究プログラムからの鍼のエビデンスを全体にまとめると、不確実さのレベルは統計的に低下した。我々は将来的な研究の方向性を特定した。我々の研究はまたヘルスケアの紹介オプションとしての鍼の潜在的な役割を考慮し、またプロバイダーや政策担当者が出所のしっかりとしたエビデンスに基づいて結論を出すことを可能にする価値ある基盤を提供した。
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