がんに対する鍼灸の進歩と安全性の懸念 その1

朝霧高原治療院の田中です。寒いですね。河口湖は雪です。

さて。先日の緩和ケアの講演会ではメインストリームの緩和ケア界では鍼灸にあまり注目が集まっていないことが分かり、がん患者さんに鍼していろんな症状が楽になってもらえた経験を持つ鍼灸師としては少々凹んでいるところです。

でも欧米ではかなり期待されているんですよね。この違いは一体何なのか?慢性腰痛にも同じことが言えます。

鍼がこれらの症状を治したり、楽にしたりということは科学的に実証されてきているわけだから、それについて多くのみなさんに知ってもらうことが大切かと思います。

今回紹介したいのはダナファーバーがん研究所のグループによる「がんに対する鍼灸の進歩と安全性の懸念」という論文です。2010年のものなのでちょっと古いですが一応。
これです↑

腫瘍鍼灸については頸部がんの頸部廓清後の痛み、機能障害、頭頸部がんでの放射線治療による口腔乾燥症、乳がんでのアロマダーゼ阻害剤による関節痛、乳がん、前立腺がんでのホットフラッシュ、卵巣がんでの化学療法による好中球減少症などが研究されている。

がん患者では出血や感染などが起こりやすい場合があるため安全性についての評価も求められている。

Pfisterらは頸部廓清や放射線治療後の中程度からひどい痛みに対して鍼が有効な場合があることを示した。70名の患者が通常治療に加えて鍼を受ける群と受けない群とに分けられ、鍼は週1回の頻度で4回行った。6週後の時点で鍼を行った群では肩機能の指標であるConstant-Murley Scale、食事時 の乾燥感,口唇の乾燥など11 項目に対して5段階で回答するXerostomia Inventory、患者さんが感じている痛みを数字で評価するNumerical Rating Scale のスコアが受けなかった群をすべて上回っていた。鍼を受けた群は手術からの期間が平均3年3ヶ月だったことから術後しばらくだった後でも鍼の効果が期待できることが示された。↓詳しくはこれ

Garciaらは放射線治療を受けた19名の頭頸部の扁平上皮がんの患者で研究を行った。処置からの期間は平均2年4ヶ月で、週2回の鍼を4週にわたって行った。鍼終了後1ヶ月経った時点で55.56%の患者でXerostomia Inventoryが6点以上改善した。口腔乾燥の度合いを調べるPatient Benefit Questinnaire、FACT-H&N QOLは4週と8週の時点ですべて改善した。
これ↓

Crewらは早期乳がんでアロマダーゼ阻害剤に関連した筋骨格系の痛みの患者43名に対して鍼と偽鍼とを比較する研究を行った。患者の痛みと痛みによる影響を9つの質問で調べるBrief Pain Inventory-Short Form (BPI-SF)は10点中平均6.7だった。12回の鍼を行った6週時点で鍼をした群では3.0、偽鍼群では5.5になった。これ↓

続きはまた明日。

質の高い鍼灸をすべての人に 朝霧高原治療院 鍼灸|富士市 石坂

西富士道路広見I.Cから車で5分、広見児童館南側  厚生労働大臣免許第119017号 ウェブサイト最終更新日 令和7年4月29日

0コメント

  • 1000 / 1000