がんに対する鍼灸の進歩と安全性の懸念 その2
朝霧高原治療院の田中です。今日の河口湖は雪かきが大変で、終わってから疲れて寝てしまいました。
さて。2010年のダナファーバーがん研究所の論文の続きです。
ヘンリーフォード病院放射線医学科のWalkerらはホルモン受容体陽性乳がん患者50名を無作為に分け、週2回の鍼を4週した後、週1回にして8週鍼をする群とベンラファキシン(商品名イフェクサー)を投与された群とを比較してどちらもホットフラッシュが50%軽減したことを報告した。うつやその他の QOLに関連した症状も改善し、その効果は3、6、9、12ヶ月後も持続し、著者らはこれらの治療法の有効性は同等で、鍼の方が副作用が少なかった(イフェクサーでは悪心、不安、めまい、ドライマウスなど18件の副作用が出たのに対して鍼では副作用の報告なし)と結論づけている。これです↓
鍼の群では性欲が増進した、なんてことも書いてあって興味深いです。
ワイルコーネルメディカルカレッジ放射線医学科のAshamallaらはアンドロゲン除去療法中の前立腺がん患者17名を集めて2週、6週、8ヶ月のホットフラッシュスコア(ひどさと頻度をかけ合わせたスコア)を用いて鍼の効果について検討した。
開始前に抜けた3名を除く14名が週2回の頻度で4週にわたって鍼を受けたところ開始前平均28.3だったスコアが2週、6週の時点では10.3、7.5と低下した。8ヶ月時のデータが得られたのは11名だったが平均は7.0だった。
人数が少ないけど効くな〜という印象。
ホットフラッシュは抗アンドロゲン療法とGnRHアナログで治療中の男性の45%に生じるらしく(A.C. Spetz, E.L. Zetterlund, E. Varenhorst, et al. Incidence and management of hot flashes in prostate cancer. J Support Oncol, 1 (2003), pp. 263-266)、かなり頻度多いな、と思いました。通常SNRI(サインバルタ、トレドミン、イフェクサーSRカプセル)やガバペンチン(ガバペン)が使われるそうですが25mg/日のイフェクサーSRでは54%というパイロット研究の報告もあるそうです。
オレゴン健康科学大学のBeerらは同じような患者さんを25名集めてやはり週2回の鍼を4週にわたって行い、続いて週1回の鍼を6週継続した。22名中9名は4週後に先ほどのホットフラッシュスコアが半分に下がった。最終的に12名が同様の改善を示した。これ↓
半数に効くなら試すべきかも。
後1/3くらい残ってるけどまた明日。
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