鍼をするとエンドルフィンは出るのか?
朝霧高原治療院の田中です。今日は暖かいですね。治療院前の庭には小鳥がさえずってます。
さて。
昨日の「がんに対する鍼灸の進歩と安全性の考慮」というダナフアーバーがん研究所の論文の続きを読んで終わらせてしまおうかと思っていたのですが、今日あるドクターとお話しさせてもらう機会があり、「15分や30分の鍼通電で本当にエンドルフィンが出るの?」というご質問をいただきました。
エンドルフィンというのは言ってみれば鎮痛に関わる体内モルヒネのような物質なのですが、過去に読んだ論文には一定の周波数で鍼通電をすると15分位で脳脊髄液中に増加し始めて30〜40分位でピークになり、そのあと通電を続けるとコレシストキニンオクタペプチドという分子の脳脊髄液中濃度が増してきて鍼の鎮痛効果を打ち消してしまう、というふうに理解していました。
でも「本当に出るの?」と問われると、自分としても「確かに。本当かな?」となってしまうのでした。
で、「がんに対する鍼灸の進歩」の続きを読むよりも、むしろそっちの方が気になってしまいました。
検索したら2018年にインドネシアの先生が18人ずつ合谷に30分の電気鍼をしたグループと前腕の掌側に鍼して30分通電したふりをした群とで血漿エンドルフィン値を比較した研究が見つかりました。これです↓
先にこっちを読んでしまいたいな、と。
結論としては30分間合谷に鍼通電したグループでは偽ツボに30分鍼通電したふりをしたグループと比べてしっかりエンドルフィンが出るそうです。
これまでにも鍼にやってエンドルフィンが出るという文献はたくさんありました。あるどころかこれが鍼の中心的な作用メカニズムとしてよく説明に使われています。エンドルフィンの拮坑物質であるナロキソンの投与で鍼の効果が低下することからも鍼灸にエンドルフィンが関与していることが分かります。
でも「出なかった!」という論文もあるようです。電気鍼をしたら痛覚閾値は上がったけれども血漿βエンドルフィンやACTHの脊髄駅中の濃度は上がらなかった、という。これです↓
他にもあります。腰痛に対する鍼の効果を調べたが、鍼灸は血漿βエンドルフィンを変化させなかった、という。これです↓
途中ですがさすがにもう眠くなってしまったのでまた明日にします。お灸して寝ます。おやすみなさい🌙
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