最新の鍼灸論文のお知らせがきた

こんばんは。朝霧高原治療院の田中です。

今日は日中にGoogle Scholarアラートというのを設定しまして、「鍼灸」というワードの入った論文がネット上にアップされると自動的にお知らせがくるようになりました。

それで早速今し方お知らせがきた、というワケです。

こんな感じです↓

というわけで10本の論文が紹介されていますので大まかな内容だけチェック。

1つめはなんとアメリカのマサチューセッツ総合病院のJian Kong先生のグループですからこれは期待できます。

Imagined and Actual Acupuncture Effects on Chronic Low Back Pain: A Preliminary Study.

「慢性腰痛に対する鍼の画像上および実際の効果:予備研究」というタイトルです。

大まかな内容はこんな感じ↓

想像上の経験が実際の経験によって生じる脳の反応に似た反応を生じさせるということが研究によって示されている。想像と受容の両方をサポートする脳の反応は心的イメージの機能的本質の基盤となっている可能性がある。先行研究で我々は鍼とイメージとを組み合わせた新しい治療法であるビデオガイド鍼灸イメージ療法(VGAIT)を開発した。そしてVGAITが健常人の痛覚閾値を有意に上げること(←痛みが感じにくくなるということ)を見出した。この研究の目的はVGAITが慢性腰痛の患者の症状を軽減させられるかどうかを研究することによって我々の先行研究を拡張させることである。そのためにまず研究1として12名の女性慢性腰痛患者にVGAITを行なう単一群試験*を行った。それから研究2として本当の鍼と偽の鍼を行った最近の研究と似たようなプロトコルを作って慢性腰痛の31名の女性患者に行い、結果を比べた。研究1と研究2 の患者は4週にわたって6回の施術を受けた。VGAITと本当の鍼、偽の鍼はどれも腰痛不具合スコアによって測定された痛みのひどさを有意に減少させた。VGAITは本当の鍼と類似した効果を生じたが偽の鍼と比べたときに痛みの不具合の大きさに有意差はなかった。さらに分析すると異なる治療方法によって生じる感覚にも有意差はなかった。これらの所見はVGAITが痛みの管理に対して好ましい方法であることを支持している。

*単一群試験(single arm trial):介入群のみで比較対象群を置かない臨床試験。期待される効果に一定の閾値を設定し、それを超えることを証明するようにデザインされる。

 これだけだと「ふうん....」という感じ。

でもラッキーなことにこれは全文無料で読めるやつで、ちょっと目を通した感じでは参考文献も含めてこれを読めば鍼灸の最新脳研究についてかなり理解が深まりそう。これ↓

https://www.hindawi.com/journals/np/2020/8579743/


2つめは、と。コロナ関連ですね。

これです↓

https://journals.lww.com/md-journal/Fulltext/2020/07020/Acupuncture_for_breathlessness_in_COVID_19__A.21.aspx

チャイナの威信をかけて天津大学のグループが「COVID-19での呼吸困難に対する鍼灸のシステマチックレビューとメタアナリシスへのプロトコル」というのを出してきました。これからやりますよ、というなんというか宣言のような感じでしょうか。天津というと天津甘栗を連想しますが、場所は北京をちょっと東に行ったあたりで写真を見るとかなり都会です。遼東半島と山東半島で囲まれた湾のちょうど真ん中で海のすぐ近くです。

大まかな内容はこんな感じ↓

現在COVID-19が世界に広まり注意が向けられている。鍼はCOVID-19による呼吸困難の患者に役立つ可能性がある。この研究はCOVID-19での呼吸困難に対する鍼の効果と安全性について調べるためにデザインされた。2020年6月30日までに7つの電子データベースから無作為化比較試験(RCT)を検索する予定。臨床研究の登録者らによる研究はさらに検索される予定にしている。2名の研究者が個別に研究を選択し、データを抽出し、研究の質を評価する。そして最後に可能であれば蓄積された介入効果を評価するためにメタアナリシスを行う。

ぜひ頑張ってください!


次は韓国のグループです。

Intensive Motion Style Acupuncture Treatment (MSAT) Is Effective for Patients with Acute Whiplash Injury: A Randomized Controlled Trial.

「インテンシブモーションスタイル鍼(MSAT)という方法が急性のむち打ち症に有効:無作為化比較試験」というタイトル。ちなみにむち打ち症というのは医学的な傷病名ではないそうですが、むち打ちで頚部の組織が損傷されてさまざまな症状が出るものの総称です。どの症状もそうですが、鍼灸院に来る前にまずは病院に行って検査を受けることが大切です。

さて。

著者の先生たちの所属を見るのも結構楽しいものです。

Bucheon Jaseng Hospital?どこ?と思ってマップで調べたら仁川国際空港とソウルの間あたりの病院でした。そしてこのインテンシブモーションスタイル鍼なる方法。これって運動鍼のことじゃないの?と思ってこの病院のウェブサイトを見てみたら「Jaseng特有の治療法」と書いてある。とても詳しく説明されていたのでチェックしてみたら確かにいわゆる運動鍼とは違ってました。両側の手足と後頚部に5本鍼をした状態でスタッフが両側から患者さんを挟んで3人4脚で歩く、というとても興味深い療法です。いろんな症状に効くそうだから実際どのくらい効くのか試してみたい....。これ↓

https://www.jaseng.net/treatment/acupuncture/msat-acupuncture/

今年は鍼研究会(Socoety for Acupuncture Research:SAR)の年次集会が9月にソウルであるんですよね。楽しみにしてたのにコロナで行けなさそうな感じです。以前見えた患者さんから「韓国はウナギが旨いんですよ、ぜひ食べて」と教わっていたのでそちらもとても残念。

この論文ではこのMSATがむち打ち症による痛みの軽減や機能改善に対して効くのか?という研究ですが、むち打ち症でこの病院に5〜14日入院した頚の痛みのある97名の患者さんに韓医学の治療を行い、3日間のMSATを加えた48名と加えない49名とで主観的な痛みの度合いがどうなったかを比較したそうです。評価はNRSという痛みスコアを使って行ったのですが、治療前のスコアはMSATを受けた群の平均が10のうち5.67、受けなかった群の平均が4.59。それが5日目には3.55と4.59だった。頸部痛の回復率はNRSスコアで2以上の改善としたがMSAT群で有意に早かったそうで韓医学にMSATを組み合わせるとむち打ち症の患者さんの痛みの軽減や可動域の改善に有効だ、という内容でした。

あれこれ見ながら読んでたらもう寝る時間になってしまいました。

明日からは富士で鍼です。おやすみなさい。

しつこい慢性のこり、痛みに 朝霧高原治療院 鍼灸

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