アレルギー喘息に対する鍼

こんばんは。朝霧高原治療院の田中です。

今日も新しい鍼灸の論文が続々と紹介されていました。読んでいたらウクライナのグループから「気管支喘息に対する非薬物的療法とリハビリ」という論文が出ていまして、その中に鍼灸が紹介されていました。

鍼灸の部分だけ簡単に抜粋するとこう書いていあります。


鍼灸: 保管代替療法の最も重要なものの一つで2000年以上にわたり様々な病気の治療やリハビリに利用されてきた。1979年にはWHOが気管支喘息患者のリハビリの手段として正式に鍼灸を推薦した。英国胸部学会では医療従事者は鍼灸を含む保管代替療法の利用について知っておくことを推奨している[67]。Yang Yの研究は鍼が喘息の症状を和らげるのに有効であり、また気管支喘息患者の局所細胞免疫への調整作用を有し、通常療法の付加的療法として治療およびリハビリに利用できることを示している [68]。喘息治療に対する鍼灸について評価した多くの比較臨床研究にもかかわらず、その有効性に関する明らかかつ確かなエビデンスは確立していない[69]。

この[67]はガイドライン、[69]は薬剤を使った韓国の鍼灸ですが、[69]が気になって無料で読める抄録だけ読んでみました。


これです↓「アレルギー喘息患者に対する付加療法としての鍼灸利用を考える」

Considerations for use of acupuncture as supplemental therapy for patients with allergic asthma.

Yong Qing Yangら,2013.

https://link.springer.com/article/10.1007/s12016-012-8321-3


この研究はアレルギー喘息患者の治療における鍼灸の臨床的な免疫調整作用について調べるものである。巨闕(CV14)、風門(BL12)、肺兪(BL13)の経穴が喘息を治療する上での"中医学(TCM)"の理論に基づいて選ばれた。5週にわたって1日おきに(週3回)マニュアル鍼を行った。鍼は1分間に60回の比率で約360°20秒間10分毎に回旋させ30分後に抜鍼した。分泌物内のslgAと総IgAの濃度をショ糖密度勾配円心法と放射免疫測定(RIA)を組み合わせて測定した。血漿中のコルチゾール値を放射免疫測定で測定した。血清(*seraはserum=血清の複数形。液体なのに複数形を使うんだな...)中の総IgEをELISA法で測定した。末梢血液中のCD3陽性Tリンパ球、CD4陽性Tリンパ球、CD8陽性Tリンパ球、IL2R陽性Tリンパ球をフローサイトメトリーで測定した。末梢血液中のエオジン嗜好性白血球の全数と分画をエオジン染色を用いてカウントした。全治療コースが終了した時点でのアレルギー喘息患者に対する鍼の効果は85%だった。治療後唾液中の分泌型IgA(sIgA)と総IgAの濃度と鼻汁分泌はアレルギー喘息患者で有意に減少した。末梢血液中の血清総IgE値、IL-2R陽性Tリンパ球、エオジン嗜好性白血球の全数および分画数も有意に減少していた。末梢血液中のCD3陽性Tリンパ球、CD4陽性Tリンパ球、CD8陽性Tリンパ球の数は鍼で治療されたアレルギー喘息患者で有意に増加していた。喘息患者の血漿中コルチゾール濃度は鍼の後も有意な変化はなかった。鍼はアレルギー喘息患者での粘膜および細胞免疫に対する調整作用を有し、アレルギー喘息に対する付加療法になる可能性がある。


なるほど。

本文を読んだら書いてあるのかもしれないけど何人の患者さんに鍼をしたのか知りたいところ。本当に効くならアレルギー喘息で困ってる人はたくさんいるし巨闕(CV14)、風門(BL12)、肺兪(BL13)の3つの経穴だけで効くならいいな、と思うんですけどこれらのツボはみんな胸回りで気胸のリスクがある場所。自分ならエコーガイド下で片側ずつしかやりたくない。この研究ではどうしたのか知りたいところ。


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