イギリス国立医療技術評価機構(NICE)による鍼灸の説明
おはようございます。イギリス国立医療技術評価機構(NICE)による鍼灸の説明が簡潔でわかりやすかったので日本語に訳して紹介しようと思います。
これです↓
https://www.nhs.uk/conditions/acupuncture/
鍼灸
鍼灸は古代の漢法医学に由来する療法です。治療や予防の目的で身体の特定の部位に細い鍼を挿します。
鍼はイギリスではほとんどのペインクリニックや病院、多くのかかりつけ医が行っている補完代替医療のひとつです。
鍼灸はどのように効くか
西洋医学における鍼は皮下や筋肉内の感覚神経を刺激するもので医学的診断の後に行われます。鍼を行うと体内から痛みを和らげるエンドルフィンのような物質が分泌されますが、これらが鍼の効果を生じさせているようです。
鍼は継続して行うと1回だけ行った場合よりも持続的な鎮痛効果が得られます。伝統的な鍼灸は経絡を流れる「気」の概念に基づいており、伝統的な鍼灸を信じる鍼灸師は気の流れが悪くなると病気になり、鍼が気の流れを回復させ、健康を回復させると考えています。
鍼灸の利用
鍼灸師は幅広い疾患の治療に携わっています。しかし鍼灸の利用は常にしっかりとした科学的根拠に基づいているわけではありません。イギリス国立医療技術評価機構(NICE)は鍼灸の利用を希望する人々のためにガイドラインを提供しており、以下の2疾患について鍼灸の利用を考慮することを推奨しています。
* 慢性緊張性頭痛
* 片頭痛
また鍼灸は以下の整形外科的疾患の治療によく利用されています。
* 肩こりをはじめとした慢性の痛み
* 関節の痛み
* 歯の痛み
* 術後の痛み
しかし鍼灸を他の治療と比較した際の有効性の根拠は不明です。
国民健康保険(NHS)での鍼灸
イギリス国民健康保険でも鍼灸を利用できる場合があり、かかりつけ医や理学療法士が行っています(*日本で理学療法士が鍼灸を行う場合には鍼灸師の国家資格が必要)。ほとんどの利用者は自費で施術を受けており、料金は鍼灸師によりさまざまです。その場合には鍼灸を受けている旨をかかりつけ医に相談しましょう。
鍼灸はどのように行われるか
症状の聞き取り、既往歴、理学検査などを含めて鍼灸の施術には通常20〜1時間ほどかかります。場合によりますが施術は複数回に分けて行います。
鍼の挿入
鍼は経穴と呼ばれる特定の身体部位に挿入されます。施術は座位もしくは臥位で、施術部位によっては衣服を脱いで行われます。使用する鍼は非常に細く使用後すぐに廃棄される使い捨ての滅菌済み鍼です。症状に合わせて特定の経穴が選ばれ、複数の経穴の鍼が皮下あるいは筋肉内に挿入されます。鍼挿入後は数分〜30分ほどそのままにされます。鍼を挿入する際にチクリとしたり、重怠い間隔が生じたりすることはあっても明らかな痛みが起こることはありませんが、もし痛みがあった場合にはその旨を鍼灸師に知らせましょう。
鍼灸の安全性と規制
イギリスでは鍼灸の規制はない状態です。鍼灸を選ぶ際にはその施術者が医師、看護師、理学療法士、あるいは国立鍼灸機関のメンバーなどの医療従事者であることを確認することを推奨します。医療および社会ケア職業標準専門家委員会のホームページで鍼灸師を見つけることができます。資格を持った鍼灸師が行う場合には鍼灸はとても安全です。まれに以下のような軽度かつ短期間の副作用が生じる場合があります。
* 鍼をした部位の痛み
* 鍼をした部位の出血や内出血
* 眠気
* 倦怠感
* めまいやふらつき
* 元々あった症状の悪化
血友病などの病気のある人や抗凝固薬を服薬している人、また金属アレルギーがあったり鍼をする部位に感染症があったりする場合にも事前にかかりつけ医に相談しましょう。
妊娠している時にも鍼灸は安全です。しかし妊娠中には使用しない経穴があるので妊娠している場合にはその旨を鍼灸しに話しましょう。
0コメント