脳梗塞後遺症に鍼が効くメカニズム

朝霧高原治療院の田中です。今日は歯の定期検診とクリーニングに行ってきました。歯周病なし、虫歯なし。


さて。

今日の文献はこれ↓

Effect of Electro-acupuncture on Proliferation and Differentiation of Endogenous Neural Stem Cells in Brain Tissues of Cerebral Ischemia/Reperfusion Injury Rats Based on Notch Signaling Pathway

Peng Qing

https://pdfs.semanticscholar.org/5455/e6e55749f3098965fcbd2e815af82f43fbbe.pdf

です。


最近脳梗塞後の脳組織の回復に関する研究をよく目にします。

うちでも脳梗塞後の患者さんが2人いるんだけど論文通りなら少しずつよくなっていってくれるのか?

よくなっていって欲しいです。


抄録と本文読んでいきます。

目的:電気鍼がNotchシグナル伝達経路に基づいて脳虚血-再灌流障害(CIR/I)ラットの脳組織の内因性神経幹細胞の増殖および分化に及ぼす影響について議論すること。

方法:220匹のSPFグレードのWistarラットのうち32匹を無作為にAグループ(shamオペレーショングループ)に選んだ。そのほかはsuture- occluded method of Zea Longa

による中大脳動脈閉塞再灌流(MCAO/R)モデルとして確立させた。それからすべてのモデルラットはBグループ(モデルグループ)、Cグループ(DAPTグループ)、Dグループ( EAグループ)、Eグループ(EA+DAPTグループ)、Fグループ(EA+DMOSグループ)に各クループ32匹ずつに分けた。各グループのラットは電気鍼の時間によって8匹ずつのサブグループに分けた。D、E、Fグループの電気鍼の操作は直径0.22mmの鍼を百会(GV20)と大椎(GV14)に5mmの深さで挿入し電気鍼装置に1日1回20分つないだ。電気鍼の後、ラットは7日、14日、21日、28日で各サブグループにサンプルされた。BrdU/DCXとBrdU/NeuN二重染色細胞の積分光学濃度を免疫蛍光法によって測定した。Notch1タンパクはウェスタンブロット法で測定した。

結果:(1) BrdU/DCX二重染色細胞の積分光学濃度:Aグループと比較して他のグループのBrdU/DCX二重染色濃度はあらゆる時点で有意に増加した(p<0.05)。CグループはBグループよりも有意に低かった(p<0.05)。DグループはB、C、Eグループより有意に高かった(p<0.05)。FグループはEグループよりも有意に高かった(p<0.05)。(2) BrdU/ NeuNの二重染色細胞: Aグループと比べて他のグループのBrdU/ NeuN二重染色細胞はすべての時点で有意に増加した(p<0.05)。CグループはBグループより有意に高かった(p<0.05)。DグループはB、C、Eグループより有意に高かった(p<0.01)。EグループはCグループより有意に高かった(p<0.05)。FグループはEグループより有意に高かった(p<0.01)。(3)Nottch1蛋白の発現:DグループのNotch1タンパクのレベルは最も高く、次はEグループで最も低かったのはAグループだった。

結論:電気鍼は神経幹細胞の増殖および分化を促進する。Notchシグナル伝達経路は電気鍼が神経幹細胞の増殖を促進するプロセスに少なくともある一定の範囲で関与している;Notchシグナル伝達経路は電気鍼が神経幹細胞の分化を促進するプロセスには関与していないか、あるいは主だって関与していない。我々の研究はまた電気鍼治療が早期および中期のステージでの有意な効果があることを確認した。


Notch Signaling Pathway

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/Notch


Pluripotent Stem Cell:多能性幹細胞

http://t-takaya.net/?p=research/pluripotent_stem_cell#iPSC

suture- occluded method of Zea Longa

https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/01.STR.20.1.84


本文は全部訳すことはせず、興味を持ったところだけメモしていこうと思います。


チャイナではおよそ1000万人が脳梗塞になっていてその80%は後遺症に苦しんでいる。

日本では111万5千人(2017年)というから割合は似たり寄ったりだけれど、チャイナの方が人口が多い分苦しんでる人も多い。


電気鍼は脳梗塞後の身体能力を改善し、微小循環を改善し、一酸化窒素の毒性を減少させ、神経ペプチドや神経伝達物質の割合を調節し、神経細胞のアポトーシスを阻害し、中枢でのGAP-43とSYPの発言を促進し、中枢神経系のリモデリングを増加させることが過去の多くの研究で確認されている。

しかし神経幹細胞に対する電気鍼の効果とNotch signalとの関連についてはわかっていないためNotchシグナル伝達経路に基づいた脳虚血/再灌流障害における内因性神経幹細胞の増殖および分化に対する電気鍼の効果について議論するようにこの研究はデザインされた。


BrdU:ブロモデオキシウリジンはDNA複製の際にチミジンと置き換わる。免疫染色でBrdU陽性細胞を確認できる。BrdU陽性細胞が多いということはDNAの複製が盛ん、ということ。


Aグループ:頸部を切開してただ閉じただけ(sham手術グループ)。その後BrdUを3日間、8時間の間隔を開けて1日2回注射。

それ以外のグループはMCAO/ R処置をしてある。

Bグループ:MCAO/ R処置後、BrdUを3日間、8時間の間隔を開けて1日2回注射。

Cグループ:同様にBrdUを注射し、7日間1日1回のDAPT注射。

この場合のDAPTはNotchの活性化を阻害するγセクレターゼ阻害剤。紛らわしいが抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy: DAPT)ではない。

Dグループ:同様にBrdUを注射し、2/15Hz、1mAで1日1回20分の電気鍼をした。さらに7日、14日、21日、28日の電気鍼を行うサブグループに分けた。

Eグループ:Cグループと同様にBrdUとDAPTを注射しDグループと同様の電気鍼。

Fグループ:同様にBrdUを注射し、7日間1日1回、ジメチルスルホキシド(DMSO)を注射しDグループと同様の電気鍼。


ただ切開して閉じただけのグループと比べて脳梗塞と再灌流障害モデルではニューロンの増殖が活発になることを示している。そしてそのピークは21日目。


MCAO/ RさせただけのグループよりもMCAO/ RにDAPTを加えたグループの方がニューロンの増殖は多い。


MCAO/ Rモデル、MCAO/ R+DAPT、MCAO/ R+DAPT+EAより、MCAO/ R+EAはどの時点でもニューロンの増殖が盛ん。


MCAO/ R+DAPT+EAではMCAO/ R+DMSO+EAよりニューロンの増殖は少ない。


Notch 1タンパクはすべての時点で各グループのラットの買い場で発現していた。MCAO/ R+ EAで最も発現しており、次はMCAO/ R+DAPT+EA。


大変眠くなってきたので途中だけど今日はここまで。

おやすみなさい。

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